浜崎あゆみ、中島知子が教えてくれる、高い確率で破滅に向かう生き方。

更新日 2015-08-28 14:27  公開日 2015-04-02 14:52
浜崎あゆみ、中島知子が教えてくれる、高い確率で破滅に向かう生き方。
登場人物

渕上賢太郎(ふちがみ・けんたろう)博士
モテモテアカデミー及び夢を叶えるアカデミー主宰。数学、生命科学、行動経済学の博士号を持ち、人の心の動きを論理的に解明する。婚活女性の悩みもよく聞くため、最近の結婚市場にも詳しい。

山田君
博士を慕う冴えない32歳。博士の教えにより、今年ついに彼女をゲット。彼女いない歴=年齢のモテない人生に終止符を打った中堅IT企業のSE。浜崎あゆみ全盛期はイケてない学生として過ごしていた。  

※この記事は、2011〜2013年までの間に、MSNのニュースサイト・ドニッチにアップされたぐっどうぃる博士の記事の復刻版です。


山田君 あゆ、やっぱり離婚しちゃいましたねえ。去年の元旦に結婚を発表して約1年、短かったですねえ(※この記事は、2012年に書かれた記事です)。

博士 これほど「やっぱり」が似合うケースも珍しいな。

山田君 なんであんな結婚しちゃったんでしょう?駆け出しの外国人俳優と出会って4ヵ月で結婚なんて、うまくいくわけないとわかりそうなものですけど。
一部では離婚を前提にした話題作りのエア結婚だったんでは?なんて言われてますけど、どうなんでしょうか。

博士 それは考えにくいな。彼女はもっと純粋だと思う。
その証拠に、結婚直後、彼女は浮かれていた。「あゆ国際婚!」の見出しが躍るスポーツ新聞の上に寝そべってピースサインをしている画像を自身のTwitterにアップしていたのには驚いたが、本当に嬉しかったんだろう。

山田君 何が彼女をそんなイタい行動に走らせたんでしょう?そんなに彼に夢中になってたんですかねえ。

博士 一言で言えば、「強い不安」とそれに続く「出会い」だ。

山田君 なんですか? それは?

博士 人は、強い不安や痛み、あるいは極度の退屈の中にいると、そこから抜け出したいというモヤモヤでいっぱいになる。そんな時、それを解決する人や方法に「出会う」と、すがりつくようにそれを選ぶんだよ。

山田君 どういうことでしょう?

博士 たとえば、夫に全く相手にされず孤独の中にいた人妻が、突然、新興宗教にはまったり、生き甲斐を感じない会社に勤めていた若手社員が、急に海外青年協力隊でアフリカに行ったり、お笑いで鳴かず飛ばずの芸人が、あるとき突然DJになったり、経済的に成功したいのに苦しい生活をしている保険のおばちゃんが、突然マルチまがい商法にハマったり、もっと具体的な例を言えば、生活が貧窮している大阪市民の前に、橋下徹が現れたりだな。

山田君 も、もしかして、オセロの中島知子もそうなでしょうか?? 1月31日発売の「FLASH」によると、中島知子は、家賃を昨年8月から6ヵ月滞納していて、マンションの2部屋合わせて660万円になっちゃってるらしいです!!

博士 そうだろうな。2009年から始まった激太りや相方の結婚・妊娠・出産、「週刊文春」によれば井上陽水との泥沼不倫もあったという。そもそも40歳なのに彼女はいまだに独身だ。彼女を不安にする要素はいっぱいあっただろう。そこに霊媒師。まさに、「強い不安」とそれに続く「出会い」だな。

山田君 浜崎あゆみも、その不安の中にいたんですかね?

博士 そうだと思っている。

浜崎あゆみが音楽シーンのど真ん中にいたのは、1998年から2003年くらいだろうな。
1999年1月1日発売の1stアルバムで150万枚を売り上げたのを皮切りに、出すアルバム出すアルバムがミリオンセラー、2002年には『タイム』誌アジア版で表紙を飾ったりした。

それからさらに数年は、その勢いのままトップの座に君臨していた。
だが勢いは2007年くらいから徐々に落ちていき、2009年くらいから彼女にも自覚できるくらいにまで落ちていったのだと思う。

2009年の終わりには音楽番組で大ヒット曲「evolution」を歌っている最中に声が出なくなり、カメラに背を向けたことがあったな。その後苦笑いで「ゴメン!!」と叫び、翌日ファンクラブ専用ブログでファンに謝ったわけだが、少なくともこの頃にはもう、彼女は強い不安の中にいたのではないだろうか。

山田君 だから結婚、ですか?

博士 以前、神田うのがなぜananに妊婦写真を載せたのかの解説しただろう。【芸能ニュース第一回にリンク http://u-rennai.jp/goodwill/ent/40/ 】。結婚というのは相変わらず「女性の幸せ」の最大のシンボルなんだよ。

そして、アラサーを過ぎれば、結婚できない女性というのは、世間から不幸な存在として、どうしても見られてしまう。

肉体的な魅力も衰えるばかり、芸能界からも消えて行く一方と感じていたかもしれない浜崎あゆみにとって、“結婚”は目の前にある問題を解決する「出会い」。たとえるなら、海で溺れ死にそうともがいていた時に、目の前にあった浮き輪のようなものだったと想像する。

山田君 でも、あゆはまだ30歳ですよ?? もっとじっくり考えても良かったんじゃないですか? 相手の生まれや育ち、言葉の違い、収入の差、そんなものを乗り越えてやっていくって簡単じゃないでしょう。もうちょっとつき合って様子を見てからとは思わなかったんでしょうか。

博士 不安にかられたときの人間の選択は衝動的で、冷静さを欠いている。

不安は「どんな手段でもいいから、今の苦しみから抜け出せ!!」と言いながら、その人の首を絞め続けているようなものだ。その苦しみの中、第10回で述べた“自分だけの味方や理解者”【第10回にリンク http://u-rennai.jp/goodwill/ent/49/】、第7回で述べた“シンプルで迷いがなくもっともらしく斬新” 【第7回にリンク http://u-rennai.jp/goodwill/ent/47/】な何かが現れれば、何も考えず簡単にすがりつく。

音楽シーンの頂点、浜崎あゆみが、自分だけを好きでいてくれる駆け出しの外人俳優と結婚。彼は“自分だけの味方や理解者”であり 、彼との結婚は“シンプルで迷いがなくもっともらしく斬新”じゃないか!

山田君 たしかに、中島知子の霊媒師も、“自分だけの味方や理解者”で、その選択は“シンプルで迷いがなくもっともらしく斬新”だったかもしれません。
霊媒師ってやっぱ斬新っすよね。

博士 浜崎あゆみの場合、離婚も同じ衝動によってしたのだろう。彼との生活が思うようにいかなくて、我慢がならなかったのかもしれないし、このまま自分が世間から忘れ去られていく事に不安を感じたのかもしれない。あるいはその両方だったかもしれないな。とにかく、たった1年で離婚をしたというのは、やはり強い不安がそうさせたのではないだろうか?

山田君 要は、不安にかられて目先のものに飛びついちゃうってことですか。はあ~、せっかく人間は理性を身に着けたのに、哀しいですねえ。

博士 ジョージ・エインズリー著「誘惑される意志」という本がある。これは人間の「誘惑」と「意志」の関係を完璧に説明した名著だ。ここで言う誘惑とは目先の欲望だ。ここで言う意志とは、長期的な幸せのために、努力を続けたり、我慢し続けたりすることになる。

たとえばダイエットは、目先の食べ物に対する誘惑に勝って、意志により痩せる努力を続ける作業とも言える。禁煙も喫煙による快感を、意志によって我慢し健康的になるということだ。

実は人間は、(他の多くの脊椎動物よりはマシなのだが)長期的に得られる利益より目先の誘惑を非常に魅力的に感じてしまう。だからダイエットや、禁煙や、無駄遣いや、ギャンブルを止めるのが難しい。

山田君 あゆは、意志の力が弱いということですか?

博士 彼女の場合、もう一つ残念なカラクリが絡んでいると思う。

彼女のような一旦大きな成功したものが抱きがちな幻想がある。それは、「私は自分の選択によって成功した」という幻想【モテの定理拡大版最終回にリンク http://u-rennai.jp/contents/column/698】だ。

彼女のような成功者が普段から口にしがちな言葉は、「直感を信じる」とか「自分を信じる」とか、「周りの言葉に振り回されるな」というようなものだろう。

それは、「不安や誘惑による選択」を肯定してしまう。つまり彼女は感情的、衝動的な選択に、理性的な理由をつけて、結婚してしまったのだと思う。

浜崎あゆみは離婚発表後、Twitterでこんなことを呟いている。
「Never regret anything coz at one time it was exactly what u wanted.......;))」
これは「何も後悔しない、なぜならそれはかつて確かにあなたが求めたものだったから」という意味だが、要は結婚を決めた時の自分はそうしたかったのだから、それを後悔はしないわ、ということだろうな。

山田君 そう聞くとそれはそれでカッコいいような気もしますねえ。

博士 僕に言わせれば、それは、浜崎あゆみの人生の操縦席に座っているのは、心に浮かび上がる“一瞬の感情や誘惑や不安”ということになる。

浜崎あゆみの今回の結婚・離婚劇が女性の支持を集めているようには見えないが、彼女のこの「その時の自分がしたいことをする。そのことに後悔はない」という考え方は、今の女性の間ではけっこう市民権を得ていると思う。「自分の気持ちに正直に生きたい」とかな。
僕に恋愛や結婚の相談をしてくる女性にも、こういう考え方の人が少なくない。

だが、「今したいこと」に従って生きていると、長期的な幸せを得られることはない

山田君 何故でしょう?

博士 僕たちに未来は見えない。自分の人生で、将来何が起きるか分からない。そんな中生き方を決めなくてはならない。それはある意味ではギャンブルといえるだろう。

そのようなギャンブルに勝つには、当たり前の話だが、自分の手持ちの掛け金がどれくらいあるかを知り、長期的な視点にたって理性的に賭けることだ。間違っても全財産を、思いつきで勝つかどうか分からない場所に賭けるべきではない。

たとえば、そのような女性たちが結婚したくなるのはいつか分かるか?

山田君 いつでしょう?

博士 それは結婚できない不安で心がいっぱいになった時だ。
つまり彼女たちは、仕事がうまくいかなくなったり、毎日が楽しくなくなった時はじめて真剣に結婚を考えるということになる。

不安になった年齢が、たまたま30歳なら結婚はできるかもしれないが、それがたまたま39歳なら、結婚は難しくなるだろう。

しかもそんな女性が選ぶ相手は、もう分かるな? 自分だけの味方で、そう、もっともらしくて……。

山田君 なんてギャンブルな人生なんですか!

博士 しかも、本人たちはギャンブルと思っておらず、「その時の自分がしたいことをする。そのことに後悔はない」なんて浜崎あゆみのような事を言って、安易に人生のすべてを賭けてしまう。

直感(心に浮かぶ衝動的な感情)に従って生きることほど危険なことはないことを、古今東西世界中で知っていた。たとえば仏教にもキリスト教にもでてくる、悪魔はまさにこの衝動的な感情の例えなのだと思う。あいつらは人や聖者が何かを成し遂げようと長期的な努力をしている時、あるいはこれで良いのか迷いの中にいる時、かならず耳元でささやき、誘惑する。そして、場合によっては長期的な人生を決める「契約」を目先の目的を叶えることと引き換えにさせてしまう。

悪魔という象徴は、誘惑による人生の選択が後の人生のすべてを決めてしまう恐ろしさを表現しているのかもしれない。

山田君 じゃあ、彼女たちはこれからどうすれば良いんですか?

博士 もしかしたら、僕の言っていることは全て勘違いで、浜崎あゆみや中島知子は、長期的にものを考えていて、今の選択をしているのかもしれない。あるいは、僕には全く思いもよらない生き方をしているのかもしれない。だから、しばらくは、彼女たちの生き方を遠くで見ている事にするよ。

ただ、一般の人は、思いのままに生きることの危うさを知っておくことだ。たまにはギャンブルに勝つ人もいるだろう。でも多くの場合、長期的な視点に立ち、理性的に生きている人間が、人生では負けない。つまりは勝つんだと思う。


今回の勝手アドバイス
「思いのままに生きる」とは目の前の欲求に振り回されることであり、リスキーな生き方である。

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