【夢が叶う9つの定理 第9回】成功も失敗も、あなたのせいではない!?。
●渕上賢太郎(ふちがみ・けんたろう)博士
夢を叶えるアカデミー主宰。数学、生命科学、行動経済学の博士号を持つ。その知識を応用し、ヒト・モノ・コトを思い通りにする定理を発見した。前回、自分がいなくても本をたくさん読めば大丈夫と山田君に伝授。そろそろ本格的に独り立ちしてほしいと思っている。
●山田君
博士の教えにより、彼女いない歴=年齢だったモテない人生に終止符を打った32歳。仕事面でも無気力なSEだったが、一念発起し博士のアドバイスに従って成功を目指している。ようやく少し大きなプロジェクトのリーダーになったが、成功への道はまだまだ遠い。
※この記事は、2011〜2013年までの間に、MSNのニュースサイト・ドニッチにアップされたぐっどうぃる博士の記事の復刻版です。また、目標達成のための記事ですが、恋に悩む女性にも役立つ内容だと考え、このたび恋愛ユニバーシティにも載せる事にしました。
神奈川県某所にある謎に包まれた研究所の一室。そこには「夢を叶えるアカデミー」の看板がひっそりと掲げられている。ここでは「成功」に関するあらゆる研究が行われており、夢を叶えたい起業家や、思い通りに動かず邪魔ばかりする部下に困り果てた経営トップたちが、こぞって扉を叩く……。
「出世してお給料をいっぱいもらって人の羨む生活をする!」そう決意して努力を続ける山田君。しかし、すでに成功している友人を見て……。
山田君 博士ぇ~~
くやしいです!
博士 古っ。顔真似もそんなに似てないな。
山田君 ザブングルの真似をしてるわけじゃありません。本当に悔しいんですよ~。
博士 どうしたんだ?
山田君 この間、高校の同窓会があったんですけど、ひとり、ものすごい成功してる奴がいて。
ヤツはいい大学に行って一流企業に入ったんですけど、そこを、あっさりやめて女性向けの雑貨ブランドを立ち上げたんです。そうしたら、それがある人気読者モデルにブログで紹介され、なんやかんやあって、あれよあれよの間に億単位の年商を稼ぐようになったんです。
博士 それはめでたい話だな。
山田君 そりゃすごいと思いますけど、ものすごい自慢してくるんですよ。
「あんないい会社に入ってなんで独立なんてってみんな止めたけど、俺、チャレンジこそ人生って思ってるからさ」「ブログで紹介してくれた読モの子も昔からの知り合いでー、まさかあんなにブレイクするなんてなあ。やっぱコレって先見の明ってヤツかな」とか。
ウゼー!
博士 確かにそれはウザいな。
山田君 極めつけに、「でも山田みたいにひとつのところでコツコツ頑張るのって偉いよな。俺、安定とか逆にコワくなっちゃってさー」って半笑いで言うんですよ!!
お前、絶対バカにしてるだろー!
博士 確かにそれはバカにしている。
山田君 ああ、やっぱりチャレンジこそ人生なんでしょうか。僕も会社やめて起業しようかな、けん玉JAPAN、クールなけん玉を世界に広める会社ですよ。
博士 それはやめておけ。この不況下に独立するなんて、自殺行為だ。
山田君 やっぱり無理ですかね。
博士 無理無理。そもそも、君みたいに、見た目も良くない、出身大学も無名、10年以上も下請けのIT企業でくすぶってるようなヤツが成功するわけがない。
山田君 ひ、ひどいっ、博士なんてこというんですか。これまでの定理はなんだったんですかっ。
博士 でも、君が成功しないのは君のせいじゃないぞ。そして、そいつが成功したのも、そいつの努力や能力じゃない。
ビジネス書界で大人気のマルコム・グラッドウェルの著書「天才!成功する人々の法則」にこんな話が載っている。
カナダの超人気スポーツ、アイスホッケーのプロ選手には1月~3月生まれが圧倒的に多い。それはなぜか? カナダでは小学生の頃から、各学年の優秀な選手でアイスホッケーの選抜チームが組まれ、強化訓練を受ける。その学年の区切りが1月1日なんだ。9~10歳くらいの子供だと、1月生まれと12月生まれでは成長に大きな差がある。でも、彼らは同時にふるいにかけられ、大抵の場合、体の大きい1~3月生まれが選ばれる。そして選抜メンバーに入った選手はより多くの時間、優れた指導を受け、さらに上達していく。選ばれなかった者には同じようなチャンスは与えられず、力の差は開いていく。
つまり、カナダでプロホッケーの選手になるには、1~3月生まれであることが圧倒的に有利なんだ。でもそれは自分では選べない。
山田君 なるほど~。
博士 他にも、あのマイケル・サンデル教授の『ハーバード白熱教室』のなかで印象深いやり取りがあった。
まず、サンデル教授が聞く。「君たちの中で、自分の能力や努力の結果、このハーバード大学に入ったと思う者は手を挙げて?」
ほとんどの生徒が手を挙げる。
次にサンデル教授は聞く。「じゃあ、この中で長男か長女は手を挙げて」
なんと学生の8割が手を挙げた。
世界で最も優秀な大学にはいるには、長男長女であることが圧倒的に有利ということになる。彼らは次男次女より手厚い親の支援を受け、期待されることへのプレッシャーもあった。だから厳しい競争を勝ち抜き、ハーバードに入れたんだ。
ついでに言えば、ハーバード大学に入っている学生の7割が富裕層。貧困層はわずかに3%だ。
生まれてくる順番も、親が金持ちかどうかも自分の責任ではない。自分ではどうにもならないことだ。
また、アラン・ド・ボトンというスイス出身の哲学者がTEDというカンファレンス(無料動画で視聴可能)の中で、述べていたこともこれに似ている。彼は次の様に言っている。一般的には、成功とはその人の努力や才能ゆえのもの、失敗はその人の責任と考えられている。だから、我々は成功者を目の前にすると、萎縮し、劣等感を感じてしまう。その一方で成功者は偉そうに振る舞っている。
しかし、そうではない、と。
1月から3月に生まれなければ、カナダでプロホッケー選手になることは難しく、次男次女に生まれればハーバード大学に入ることは難しく、第二次大戦さなかに青年になれば、生き残るのも難しいかもしれない。
成功はその人の素質や努力が決めているわけではなく、そのほとんどは環境が決めているんだよ。
山田君 ほほーっ。だから、失敗しても僕のせいじゃないと。
博士 そうだ。いわゆるちまたの成功哲学は、実際にはとても限定的な範囲でのみ有効なんだ。それを書いている著者たちのほとんどはそれに気づいていないか、気づいていても目をつぶっているかだ。
山田君 ってことは、僕はもう絶対に成功できないんですか?
博士 結構難しい。
山田君 結構ってなんなんですか!
博士 まあ、絶対に無理と言うことはない。
マルコム・グラッドウェル、マイケル・サンデル、アラン・ド・ボトンたちの言っている事は、生まれた瞬間、運命が決まってしまうということではない。
我々は、コントロールできないこの世の大きな流れの中を漂っている、木の葉の船にすぎないということだ。
これを逆に考えて欲しい。するとこうなる。
成功とは、結局のところ、このコントロールできない世の中の大きな流れに乗れるかどうかなんだ。
想像だが、君のその友人も2005年あたりのプチバブル期に起業したんじゃないか。その頃は世間がベンチャーに好意的だった。資金も集めやすかっただろう。そして、たまたま彼の知り合いに読者モデルがいて、たまたま読者モデルブームがやってきた。
山田君 そうです!なんだぁ~じゃあ、結局成功できるかどうかなんて、運次第ってことじゃないですか。
博士 そうだ。ほとんどの人間は、たまたま良い流れに乗って成功しているだけだ。
だが、成功する方法はある。
山田君 えっ、それを早く言ってくださいよ~。
博士 それは、巨大でコントロール不能な流れの中で、その流れにうまく乗るための方法だ。
マックス・ギュンター著『ツキの科学』という、幸運(ツキ)とは何なのかをロジカルな視点でとらえ直した名著に、そのヒントが書かれている。彼は、数章におよぶ、さまざまな考察のあと、どうすれば幸運をつかめるのか知っている人はいないし、コントロールできる人もいないだろうと述べている。
しかし、人間関係の構築が上手で、多くの人とつながっている人間は、そうでない人間より幸運が訪れやすいだろうと結論づけている。
僕も同感だ。
つまり、世の中の大きな流れに乗りやすくするためには、できるだけ大きなネットワークを持っておくことだ。なるべく多くの人とつながりを持っておくことで、世の中の流れを感じたり、流れの近くに引っ張ってくれる人が見つかったりする。君の友人にとっての読モみたいなものだな。
次に、これは友人の経済学者が言っていた事なんだが、彼は研究分野の関係で多くの一流の経営者と関わっている。その時彼が気づいた事は「長期的に成功している経営者は、過去のしがらみに囚われず、新しいチャンスを躊躇なくつかむ性質がある」と感じたそうだ。
ようは、それまでやってきたことに執着せずにさっと次のことに行けるフットワークの軽さだ。これが案外難しい。例えば、北京オリンピックで金メダルをとった柔道の石井慧選手。彼は、柔道という競技が、それまでの日本の「柔道」から、世界基準の「JUDO」に変化してきたことに対応し、「JUDO」に合ったポイント重視の戦略にいち早く切り替えた。他の多くの選手は一本勝ちを理想とする日本の柔道に固執した。そう簡単にそれまでのものを捨てられなった。その結果、他の選手が苦戦する中、金をとることができた。
そして最後にもう一つ成功者の特徴がある。それは、毎日を過ごす中で、キャリアや経験が積み重なるように生きるということだ。ただ時間を消費するように生きていると、川の流れにのっているだけで、どこにいても、大きな成功はない。転職は何度しても良い。だが、自分が確実に成長している、何かを身につけていることが重要となる。そうしていくうちに、その人独自のブランドが勝手に作られていく。同じ流れの中にいる多くの人たちの中で、独自のブランドを持つ人間だけが大きく成功する。
ネットワークの大きさとフットワークの軽さ、そして独自ブランドを作っていく事。この3つがあれば、流れに乗って成功しやすくなる。
山田君 なるほど~。それだけ聞くと簡単そうですが……。
博士 そうか。
山田君 でも、そう簡単にはうまくいかないんですよね。
博士 肝心なのは「流れ」という概念だ。これまで教えてきた定理に従って努力をしながら、流れに乗るためにネットワークを作り、流れが見えたら躊躇せずにそこに乗る、新しい流れのなかでこれまで培ってきた独自ブランドを活かしていく。これができれば、山田君でも成功を手にできるだろう。
山田君 わかりました!
でも、それで成功できなくても僕のせいじゃないと。
博士 もちろん僕のせいでもない。
山田君 最後がこんな感じでいいんですかねえ。
博士 これもまた、流れだよ山田君。
今回の定理
成功できるかどうかは運次第。でも大きなネットワークと軽いフットワーク、独自のブランド作りが出来れば、世の中の大きな流れに乗りやすくなれる。
ぐっどうぃる博士 (恋愛カウンセラー)
理学博士(生命科学専攻)。現在は主に恋愛カウンセラーとして活躍。自身の体験と生命科学的視点を合わせた独自の恋愛メソッドを展開し人気を集めている。悩める女性の恋の問題が解決するサイト『恋愛ユニバーシティ』主宰。
現在、WEB、書籍、雑誌等など多方面で活躍中。また大手企業のマーケティングリサーチや企業のブランディング戦略にも参画。
近著に『振り向いてくれない彼に1ミリも迫らないで恋に落とす本』がある。
他にも『モテの定理』『恋愛マトリックス』(ソフトバンククリエイティブ)、『恋で泣かない女になる61のルール』(講談社)などがある。
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