【図解 恋愛】恋愛フロー理論 その1 フロー理論概要
フロー理論とは
フロー理論とは何か?ポジティブ心理学を学んだことがある人ならご存知かもしれない。マーティン・セリグマン教授とともにポジティブ心理学を創始したミハイ・チクセントミハイ博士によって提唱された理論で、充実した楽しさをもたらす「没頭状態」を「フロー状態」と名付け、これに伴う人の特性を解明した理論である。
実はフロー理論で説明される状況や人の心理状態は、恋愛におけるそれに極めてうまく適合する。そもそも恋愛が上手くいっている高揚感、没頭状態は「フロー状態」そのものである。これから何回かにわたって、フロー理論による恋愛への応用を「恋愛フロー理論」と称して説明することにする。
さてまずは「恋愛フロー理論」の説明をする前に、チクセントミハイ博士によるフロー理論について簡単に説明する。
図1.フロー状態とは
図1はチャレンジとスキルの関係とそれに伴う人の心の状態を示したものである。チクセントミハイ博士は、「チャレンジとスキルのバランスがとれているとき、人はフローを感じることができる」と説明している。図のフロー状態がそれである。そして人はこのフロー状態にあるとき、チャレンジ対象に最も関心を示し熱中するである。
もしこのバランスが崩れたらどうなるであろう。
自分のスキルが高く、チャレンジ対象が低い場合、人は「退屈」と感じる。逆に自分のスキルが低く、チャレンジ対象が高度の場合、人は「不安」を感じるのである。
これがフロー理論の基本的な考え方となる。
フロー理論と心の状態
人のスキルやチャレンジ対象は一定であることは無い。特に人のスキルは常に向上し、チャレンジ対象もしばしば変わる。あることに熱中していたが自分のスキルが上がったため、もはや熱中できず退屈に感じる経験をした人は少ないくないだろう。では、フロー状態以外の「不安」や「退屈」の状態から、フロー状態に持っていくにはどうすればいいのだろう。図2.心の状態の変化
図2の①に注目してほしい。自分のスキルよりもチャレンジが高度で不安を感じている状態である。この状態からフロー状態に移るにはどうすれば良いだろう。この場合以下の2つの方法がある。
①から②へ移行 --- 自分のスキルレベルを上げる
②から③へ移行 --- チャレンジレベルを下げる
仕事でもスポーツでもそうだが、訓練や学習によるスキルレベルの向上、適切な目標設定はとても重要である。
次に④のスキルレベルがチャレンジ対象に比べ高い場合はどうだろう。この場合は次の方法が必要となる。
④から⑤へ移行 --- チャレンジレベルを上げる
このように自分のスキルを上げたり、チャレンジレベルを調整することで人はフロー状態に入ることができる。重要なのはひとたびフロー状態に入ると物事に熱中することである。ある意味最高の状態で力を発揮できる。そしてそれはスキルの向上を伴う。
フロー状態を利用したスパイラル的向上
このフロー状態内での熱中を利用したスキル向上と、チャンレンジレベルの調整を利用すると、次のような効果を得ることができる。フロー状態でスキルが向上する
↓
退屈な状態になる
↓
チャレンジレベルを上げ、フロー状態へ
↓
フロー状態でスキルが向上する
↓
更にチャレンジレベルを上げる
↓
・・・・・・・・
これを繰り返すことにより下図のようにスパイラル的にスキルとチャレンジレベルが向上する。仕事やスポーツにおいて理想的に成長するケースではこのような過程をたどることが多い。
図3.スキルとチャンレンジレベルのスパイラル的向上
次回は今回説明したフロー理論を恋愛に適用し、その概要を説明する。
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