仔犬みたいにじゃれる夫婦

あるお友達から、聞いた話です。

「うちの夫婦は最近は（セックスは）しないのよぉー
もともと、二人とも、淡泊っていうか、性欲は薄くて。

「お子ちゃまだから、じゃれ合うのはよくするの。」

「いぬっころ、仔犬みたいにじゅうたんの上で転がって遊んで。」

「いい年した大人が、恥ずかしいけど、
でもすごく楽しいし、私たち夫婦にとっては
大事なコミュニケーションなんだぁ」

彼女の旦那様のお顔を思い浮かべて、
ああーそうなんですねー
なんて、にまにま、にやけてしまいました。

・・・

結婚すると、そんなに枯れちゃうんですか？

独身の貴女には、ちょっと、想像しづらいかもしれません。

結婚すると、男と女から、共同生活者、
同志みたいな関係に少しずつ、変わっていきます。

セクシュアルな雰囲気になる場面が、少なくなります。
お子様が生まれたらなおさらでしょう。

もちろん、色々なご夫婦がいます。
刺激を忘れず、ずっと現役で頑張る方も。

うちの旦那様もわりと熱心なほうなので
よくお尻を触られたり、抱きつかれたりします。

それでも、がばっと、猛烈に求められる機会は
結婚当初から比べると減りました。

突然襲われると、やはり、女性としては、嬉しいものです。

そういう機会が減るのは、
人によっては、少し寂しく感じるかもしれません。

女（男）として終わった感じというか。

浮気や不倫に走ってしまう人がいるのは、
その方の弱さであり甘えだと私は思いますが、

いつも情熱的でいたい、女（男）でいたいと願う人にとって
縁側で日向ぼっこするような、ぬくい感じは
耐え難いと感じられるかもしれません。

一般的な女性には、
冒頭の仔犬のようなスキンシップ
あるいは触れたり、なでたり、があれあ
結構満足すると思います。

日本の男性も、もっともっと、行動でもって
愛情表現をしてほしいですね。

・・・

夫婦にとって、究極、何が一番大事なのでしょうか。

夕方、ちょっと待ち時間にファミレスに入り
コーヒーを飲んでいました。

隣に座っていた老夫婦と娘（嫁？）の三人
の会話が聞くともなく入ってきました。

「美味しかったね」

「いつもの店より遠いけど、この店のがいいね」

「お肉が柔らかくて、私でも食べやすかった」

「今日はよかったね」

「また来よう」

「さあ、帰ろうか」

何てことのない会話です。
でも、ほのぼのとして、仲のいい雰囲気が伝わってきて、
素敵だなあと思いました。

夫婦にとって、家族にとって、
こんな、何気ない会話が
かけがえのない宝物だと思います。

いたわりあう　ってどういうことでしょう。
スキンシップも大切ですが
私たちは人間なのだから、
やはり、言葉ではないでしょうか。

ある専門家の方は「囀り（さえずり）」と表現されました。
言葉の意味ではなく、やり・とりをする雰囲気が大事なのだと。

性的なものはいずれ衰えます。

身体も、少しずつ、劣化して、動きが悪くなります。

歳を取れば、ご病気も出てくるでしょう。

いずれは、看取りもあるでしょう。

ですが、夫婦ふたりで紡いできた時間と会話は
たとい相方が亡くなったとしても、
残された人の記憶に残り、生き続けます。

・・・

私の主人は、前の奥様と死別されています。

いまも主人の中には前の奥様がいらっしゃって、
時々彼女と会話されているのを知っています。

定期的に、前の奥様の自慢話をするので（笑）

素敵な奥様だったのねとお話を聞きます。

私はそういう主人のことが好きです。

ひとりぼっちで生きているのではなく、
大切な人とのつながりの中で存在する、
その中には亡くなった人もいて、記憶の中に生きている、
その一部に確かに自分がいる

という感覚は、穏やかな幸福感を与えてくれます。

家族ってそういうものかもしれません。

私は生まれて最初の家族ではよく分かりませんでした。
ずっと、ひとりぼっちだと思って生きてきましたので。

遠回りをしましたが、二度目の結婚で、
はじめて、居場所を見つけたという感じがあります。

結婚って、いいですよ！

（おのろけ、スミマセン）

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