談志はしんだ?しんでない?「流されやすい人々」に要注意!

談志はしんだ?しんでない?「流されやすい人々」に要注意!
登場人物

渕上賢太郎(ふちがみ・けんたろう)博士
モテモテアカデミー及び夢を叶えるアカデミー主宰。数学、生命科学、行動経済学の博士号を持ち、人の心の動きを論理的に解明する。

山田君
博士を慕う冴えない32歳。博士の教えにより、彼女いない歴=年齢だったモテない人生に終止符を打った中堅IT企業のSE。ニュースは主にネットで見る。

※この記事は、2011〜2013年までの間に、MSNのニュースサイト・ドニッチにアップされたぐっどうぃる博士の記事の復刻版です。


山田君 博士、談志師匠が亡くなりましたねえ。僕は悲しくてツイッター上で哀悼の意を表しましたよ (※この記事は、2011年に書かれた記事です)。

博士 ああ、そうか。

山田君 冷たっ、博士ちょっと冷たくないですか?あの談志師匠ですよ?

博士 それは申し訳ない。実はよく知らないんだ。
立川談志がどういう落語家なのか、ちょっと教えてくれ。

山田君 う〜ん、そうですねぇ。まず、頭にタオルを巻いていた気がします。それから、大きなメガネをかけていますよね。あと、見た感じ、お好み焼き屋のおやじさんみたいな雰囲気‥‥ですかね。

博士 見た目の印象だけかい!!

山田君 ところで、談志師匠といえば、死去の第一報が流れた時、ひと騒動あったのをご存知ですか。

博士 何だそれは?

山田君 最初、ある雑誌の記者が「談志師匠が亡くなられたと知人から連絡があった」とツイートしたんです。これが瞬く間にリツイートされて広がったんですが、談志師匠のお弟子さんがデマだとツイートしまして。「一門の誰にも連絡が来てない。デマに困っている」と。これもまた、瞬く間にリツイートされたんです。なあんだ、ガセかと安心していたらテレビで速報が流れて「本当かよ!」と。
談志師匠の夫人が「二人の時間が欲しい」としばらく弟子たちにも知らせてなかったみたいですね。

結果的に、すべての情報に反応した人のツイートは、「談志師匠が亡くなられたそうです。ご冥福をお祈りします…」→「さっきのはガセだそうです。ソースはお弟子さん。よかったー!まったくガセ流しやがってこれだからマスコミは…」→「やっぱり談志師匠亡くなられたみたいです。一度ナマで落語を聞いてみたかった…」ってテンションが乱高下する感じになっちゃって。一時、タイムライン上は騒然としてましたよ。
まあ、すべての情報に反応した人の一人が僕なんですが。

博士 って、おまえかい!!
君は本当に情報に踊らされるなあ。どうせ、震災の時は枝野官房長官に感銘を受けて、なでしこジャパンがW杯で優勝したとたんにファンになって、高岡蒼甫を褒めたたえ、野田内閣が発足したらひとしきりドジョウネタで遊んで、先々週くらいから「家政婦のミタ」を見始めて「やっぱりちゃんと作ればドラマは当たるんだよ」とか言ってるんだろう。

山田君 おおっ、僕の1年の行動がダイジェストに!そういえば、ハッシュタグ#edano_nero(枝野寝ろ)とかつけまくってましたね。もう忘れてましたよ。

博士 君は典型的な「察する能力の低い人」だな。

山田君 ん?何かその言葉は以前聞きましたね。

博士 ああ、以前にも触れたが(モテの定理第11回 http://u-rennai.jp/contents/column/675 )世の中には、察する能力の高い人低い人がいる。察する能力の高い人は物事に対して懐疑的で冷静だが、低い人はありのままに受け入れすぐに感情を揺さぶられる。

そして恐るべき事に、この「察する能力が低い人」が世の中を動かしている。

山田君 どういうことですか??

博士 先日経済アナリストの森永卓郎さんがニコニコ生放送で言っていたが、小泉純一郎内閣当時、政府の依頼により、ある広告会社が国民を「IQ」と「構造改革への関心」によってA、B、C、Dの4つの層に分類したんだそうだ。
A層…比較的IQが高く構造改革への関心も高い層
B層…比較的IQが低く構造改革への関心は高い層
C層…比較的IQが高く構造改革への関心は低い層
D層…比較的IQが低く構造改革への関心も低い層
こういう分類だ。で、このなかのB層が小泉構造改革の支持層であり、のちの民主党への政権交代を支えた人々でもあるそうだ。政治への関心は高いが、冷静さも無く、長期的な視点も、客観的な視点も、深く考える事もない人たちだ。マスコミの評価を鵜呑みにして、支持・不支持を決める。そして数が多くて影響力がデカい。

森永氏は「コロッと騙される人々」と表現しているが、こういう人々を味方につけるため、政治家はバラ巻き政策とかわかりやすいキャッチフレーズとかをぶち上げるわけだな。B層の人たちはそれにすぐ飛びつくが、そうやって期待した相手が即座に結果を出せないと、あっという間に不支持に変わる。日本の首相はコロコロ変わっておぼえられないと諸外国から言われるが、そうさせている原因の一部はB層の人たちにある。

僕の考える「察する能力の低い人」というのは、このB層のイメージと近い。

山田君 こんな人が世の中を動かしているなんて、ヤバすぎます! さっそく「察する能力の低い人やばい!」ってツイッターで拡散しないと!! 

博士 まて、山田君。君がそれをつぶやいたら、フォローワーが混乱する。

さて、「察する能力の低い人」は、ずっと昔から世の中を動かしていた。

たとえば、NHKスペシャル『日本人はなぜ戦争へと向かったのか』の第3回「"熱狂”はこうして作られた」(2011年2月放映)を見ると、日本国民の気持ちを第二次世界対戦に向かわせるのに一役買ったのは新聞やラジオで、それに踊らされたのは正に察する能力の低い人たちだったようだ。文化人の中には戦争に反対する人も少なくなかったが、察する能力の低い人たちは、それらの人を飲み込んで、熱狂的なお祭り騒ぎと共に日本を戦争へと導いていった。

山田君 なるほど。

博士 9.11同時多発テロの直後、アフガンやイラクへの侵攻を助けたのもこれらの人たちだろうな。そしてバラクオバマを大統領にしたのも「察する能力の低い人」たちだと思う。

政治家は、これらの人をどう操るかが常に命題となっている。

たとえば、20年以上前になるが、湾岸戦争が象徴的だ。イラク政府が原油を大量にペルシャ湾に放出し、環境テロが起きたことを、「原油まみれの水鳥の写真」で強烈にテレビを見ている人に焼き付けたり、クウェート市内のイラク兵が病院で乳児を保育器から出し床にたたきつけたことなどを「涙ながらに惨状を証言した少女の映像(wikipedia参考)」を使って印象づけたりすることにより、一挙に反イラク色に染まったというのも、「察する能力の低い人」を踊らせた事で達成した。

このどちらもアメリカ政府のやらせで、流出した原油の30〜40%が多国籍軍の攻撃によるものだったし、「クウェートの少女は、実は駐米クウェート大使の娘で、現場にさえおらず、証言は虚偽だった(wikipediaより)」。

山田君 博士。

博士 なんだ?

山田君 長過ぎるので、3行にまとめてください。

博士 
昔から政府は、
マスメディアを使って、
「察する能力の低い人」を動かしてきた。

山田君 なるほど。それはやばい。

博士 ところが、ソーシャルメディアの発達によって、この手の人たちの影響が即時に起きるようになり、影響力も大きくなった。

山田君 影響力が大きくなった?

博士 そうだ。

なんと、この冷静ではない、察する能力の低い、感情のままに発言をする人たちが、今やメディアのような発言力を持ちはじめてしまっているんだ。

私は仕事でとある掲示板を運営しているが、その中で積極的に発言する人はそのサイトにきている人の数パーセントしかいない。その外側に95パーセント以上の“見ているだけ”の人がいる。

だが、見た目にはそこで発言している数パーセントの人たちがそこにいるすべての人に見えるんだな。

山田君 ???

博士 つまり、熱心に発言する人の意見が、その場に参加しているすべての人の意見に見えてしまうんだよ。これがやっかいなところだ。

山田君 やっかい?

博士 察する能力の低い人は、情報に対し脊髄反射で対応しがちだ。すぐ熱くなって大騒ぎする。実はその周辺に大騒ぎしてない人はたくさんいるんだけど、ソーシャルメディアの中ではそのサイレントな人たちは見えない。だから、大騒ぎしている人の意見が多数派のように見える。

そして、さらにやっかいなのは、サイレントな人々も大騒ぎしている人の意見が多数派だと思ってしまうところだな。

そのうち、騒ぎを聞きつけたメディアが記事として発信し、WEBを見ていない人までも「なるほど世の中の大部分の人はそう思っているのか」となる。

山田君 そんな単純なものですかねえ。

博士 そんなものだよ。

たとえば、ダルビッシュ有投手と離婚でもめている紗栄子が、11月末に『one and only、「私は私」。ルールに縛られない、おしゃれな生き方』という本を出した。そのAmazonの評価が凄まじい。
94件ある評価のうち、79件は、★が一つの最低評価だ(2015年2月26日現在では、278件中230件が★一つ)。

内容を要約してみると、
「あなたがしている“おしゃれな生き方”は夫が稼いだお金でしょ?」
「お洒落をしている時間があるなら、子育てしなさいよ!」
「別に能力も無いのに、ダルビッシュのおかげで有名になっただけでしょ?そんなあなたに生き方を教わりたくない」
という具合だ。

山田君 紗栄子さんは嫌われていますね〜。早速ツイッターで、

博士 まあ、落ち着け、山田君。
まず、Amazonで10件以上の評価がつく事は、タレント本でも稀だ。

例えば、現在タレント本1位の三浦友和著「相性」は4件の評価。2位の「東原亜希のStyle Book」は24件、3位の「佐々木希 Non・non」は4件だ。

94件というのは、100万部を売る超ベストセラーでもない限り、著者や出版社が本を売るためのキャンペーンをしたか、もしくは「熱狂的な祭り」が起きたかどちらかだ。この場合、低い評価ばかりだから、後者だろう。

そして、そんな低い評価がついているにも関わらず、Amazonでの売れ行きはタレント本の中で4位だし、テレビ局に勤める友人によれば、写真集を書店に取り寄せようとしても置いてないほど売れているそうなのだ。
「テレビ局が本を手に入れられないなんてありえない」
と言っていた。

山田君 つまり、彼女を支持する層も少なくない。ということ?

博士 そう。それが我々には見えないんだよ。

でももしこれをニュースで取り上げたり、ワイドショーで取り上げたら状況は変わってしまうかもしれない。

これは、結構恐ろしいことなんだ。「多数派に見える」だけの意見がやがて多数派になっていくわけだからね。立川談志や紗栄子の例はまだ可愛い方だ。

これから、日本はTPPだのなんだの、大きなことを決めていかなくてはいけないわけで、そういうときに、この「流されやすい人々」に同調しまうととんでもないことになりかねない。

山田君 なんだか、まじめなトーンになりましたねえ。

博士 だから僕は、ソーシャルメディア上の大きな声、あるいはそれを取り上げたニュースは、常に一定の距離を置いて冷静に眺めるべきだと思うんだよ。でも、君なんかは率先して踊りそうだなあ。

山田君 いえ、僕はもう踊りません。冷静になりますよ!
って、博士!大変です!!ツイッターでフォロワー付きのアカウントを売る会社が出てきて、物議をかもしているそうですよ。こりゃ大問題だ~!ツイートしないと!!

博士 まてまてまて!!


今回の勝手アドバイス
ソーシャルメディア上の意見は、少し距離を置いて冷静に見るくらいでちょうどいい。

<次回予告>
「家政婦のミタ」ヒットのメタ的な理由


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