【セルフケアと過去の傷】④幸せを自分から壊してしまう

幸せが怖い
すべてが順調にいっていると不安になる
少し不幸なほうが逆に安心する
そんな人はいませんか?
実は、不幸になりたくて不幸になっている人が世の中には意外と存在しています。
本人は否定するかもしれません。


第3回レポートで、
人は幼少期に獲得した行動パターン・スタイル・信念に基づいて行動するということを述べました。
つまり、過去に獲得した行動パターンに沿ってある行動をした場合、
その原因は過去の出来事であるということです。
このことは、「過去にあった出来事のせいで、その行動パターンをしてしまうのは仕方がない(問題を解決できない)」ということと同義ではありません。
過去に原因があってある行動パターンを獲得した場合、
それに気づくことによってその行動パターンを変えることができるのです。
そのために過去の問題に目を向けるのです。
大切なのは今と未来です。

ではどうやって行動パターンを変えることができるのでしょうか。
ある出来事に対して、人は何らかの解釈をし、自分の反応を選択し、それにしたがって行動します。
この「解釈」「選択」は、ほとんど反射的に無意識下で行っていることが多いと考えられます。
無意識下で、過去の経験に基づいて「解釈」「選択」を行っているのです。
ある出来事に対して、その事実は変えることができませんが、
それをどう解釈するか、どのような反応を選択するかということは変えることができます。
この「解釈」「選択」を意識的に行うことができれば、行動を変えることができるでしょう。

また、過去の出来事によって行動パターンが形成されたとしても、
今現在私たちがある行動をとるのは、何かしらの目的があるからです。
たとえば、小さい頃、落ち込んでみせることで親から心配してもらえ、注意を惹くことを学んだ人は、
恋人にかまってもらいたいときに、あれこれ理由を見つけては落ち込んでみせるかもしれません。
このとき、この人は「恋人の注意を惹きたいから落ち込んでいる」ということを自覚しているとは限りません。
目の前にある都合のよい出来事を偽の理由としてこじつけて落ち込むのですが、
本人はその偽の理由を本当の理由だと思っていることがあるのです。
自分の行動の目的を自分で意識していない場合、
自分でも理解できない行動、理不尽な行動をとってしまうと感じることがあります

このような無自覚の目的が、行動パターンに影響を与えていることもあるのです。

いつも不幸な恋愛ばかりしている、うまくいっている関係もなぜか自分から壊してしまう
という人は、不幸になりたいという目的を持っている可能性があります。
この状況を脱するには、まずは自分が不幸になりたいと思っていることに気づき、
心から幸せになりたいと思う必要があります。
自分自身が不幸になることを目的に行動していたら、
いつまでたっても、どんなメソッドを使っても、幸せになれることはないでしょう。

今回は、そのような事例として、U子さんの例を見てみましょう。

事例4:U子の場合
<幸せを自分から壊してしまう>




U子は1度目の結婚生活がうまくいかず、30歳で離婚。
その後、婚活して出会ったT平(Tペい)と32歳で再婚しました。

U子の最初の結婚相手は、結婚に向かないタイプの男性でした。
経済観念がなく、自分の時間やお金は自由に使いたいという人でした。
前夫はU子と一緒に暮らしてはいたものの、平日は帰宅するなり部屋にこもってネット三昧、
休日は朝から晩まで一人で外出していました。
U子が一緒に出かけたいと言っても、「1人で行ってくれば」。
ことあるごとに価値観が合わず、ささいなことでケンカをし、
いつも最終的には
「私なんて必要ないんでしょう?」
「私はここにいない方がいいんでしょう?!」
とU子は前夫をなじりました。
U子は前夫と結婚生活を送っている意味が分からなくなり、前夫の浪費癖もダメ押しとなり、
ついに離婚してしまったのでした。

婚活をはじめるとき、今度こそ幸せな結婚をしようとU子は決意しました。
前夫が結婚に向かない性格であることを知りながら、恋愛感情のために結婚してしまったU子でしたが、
結局その結婚は破綻し、幸せな結婚には相手選びが重要だということを痛感しました。
「精神的に成熟していること」
「私を大事にしてくれること」
「経済観念があり生活力があること」
など、10個ほどの条件を書き出し、婚活をスタートしました。

何度目かの婚活パーティでU子はT平に出会いました。
見た目の雰囲気も会話した印象も、U子はT平に好印象を持ちました。
そしてめでたくカップル成立。

U子は何度かのデートを重ね、T平からの「付き合ってください」に承諾。
U子の書き出した結婚相手の条件を、T平はすべて満たしていると思いました。
週末に会い、ときには小旅行に行き、2人は順調に距離を縮めていきました。
U子の離婚の傷はまだ癒えておらず、進展をためらう場面もありました。
ですが、そのたびに丁寧にU子の話を聞いて「大丈夫だよ」と励ましてくれるT平の優しさに
U子の心もほぐれていきました。

付き合い始めてから約1年後、2人は結婚式を挙げました。
準備は慌ただしく大変でしたが、それも楽しく、
結婚式当日は何もかもが幸せで、U子は自分にこんな日が来るなんて信じられない気持ちでした。

ところが・・・。
ようやく生活が落ち着いてきた新婚2~3ヶ月頃から、2人の生活に暗雲が立ちこめはじめました。

それまでケンカというケンカをしたことがない2人だったのですが、
歯車がどうもかみ合わず、険悪な雰囲気になることが増えてしまったのです。

U子は結婚したら引っ越しをするとT平から聞いていました。
結婚してすぐの話だと思っていたのですが、一向に引っ越しする気配がありません。
「引っ越しするの?しないの?」と聞くと、T平は「今考えてるから」と答えるのですが、U子は納得ができません。
「引っ越しをするかしないか分からないと今後の予定が立てられない、T平くんが考えていることを教えてほしい」
と説得してようやく、「○○だから、それが分かるまでは決められないんだよ」と返事をもらいました。
U子はそこでT平の考えを理解したはずでした。

なにか大きなきっかけがあったというわけではないのですが、
2人の間の空気は徐々に悪くなっていきました。

元気のなくなったU子を見て、
T平が「気晴らしに出かけようか」と誘ってくれることもありました。
U子は喜んでお誘いを受けました。
ところがU子が「用事があるから夕方までに帰ってきたいけど、いいかな?」と伝えると
「それなら今日は止めよう」とT平は予定を取りやめてしまいました。
T平と一緒に出かけたかったU子は
「じゃあ夕方の予定をキャンセルするから、出かけようよ」と食い下がりました。
ですがT平は「いや、もう出かける気分じゃなくなった」と完全にやる気をなくしたようです。
いつも直前になってどこに行こうとかあれをしようと行ってくるT平に、U子は合わせられないことがよくありました。
次こそT平と出かけたいU子は
「その日に急に誘われても行けないことが多いから、早めに言ってほしい」と訴えました。
その結果、T平に「じゃあ今度から近場以外は誘わないよ」と言われてしまいました。

T平くんは私を元気づけようと誘ってくれたのに、どうしてこうなっちゃうんだろう?
私は行きたいって言ったのに、どうしてT平くんはそれを叶えてくれないんだろう?
もう私のこと好きじゃなくなったのかな?

あれほど優しく温かかったT平の態度が、だんだん冷たくなっていくように感じられました。
それが余計にU子を不安にさせました。
ちょっとしたT平の態度に過剰に反応するようになりました。
「もう私のこと好きじゃなくなったの?」と聞いてしまうときもありました。
するとT平は
「僕は態度でいつも示しているつもりだけど、U子には伝わっていないんだね。それが残念だよ」
と、これまで見たこともない冷たく他人のような顔で答えました。

実際に、T平はいつもU子のことを大切にしていました。
U子が不安そうにしているときは、外出せずなるべく一緒にいるようにしました。
U子が仕事をがんばりたければ応援するし、辞めたければ辞めてもいいよ、と言い、
いつもU子を励ましたり、話を聞いてあげたりしていました。
勤務時間の短いU子に家事を押しつけることもありませんでした。
仕事が終われば連絡を入れ、まっすぐ家に帰ってきました。
暑くないかい?寒くないかい?
お腹はへってないかい?
今日はどうだった?
疲れてないかい?
いつもU子のことを気遣ってくれました。
U子も頭ではそのことを分かっているつもりでした。

U子は「引っ越しをしたい」と訴えることが増えました。
たしかに引っ越しはしたいのですが、それよりもU子の望みをT平に聞いてほしいと思ったからです。
ですが、前述したとおり、T平はしばらく引っ越しをしないと言っています。
U子のやみくもな根拠のない「引っ越しをしたい」という要求に、その考えは変わることはなく、
理由もすでに説明しているので、T平は無言で返すしかありませんでした。
「引っ越しをしたい」とU子が訴えるたびに、U子は応えてくれないT平を責め、険悪な空気になりました。

これだけ私が訴えてもT平くんは私の願いを聞いてくれない
やっぱり私のことがもう好きじゃないんだ
T平くんは私のことを必要としていないんだ
私はT平くんに迷惑ばかりかけている
私はここにいない方がいいんだ

2人の関係が悪くなるたびに、U子の思考はいつも決まったある場所にたどり着きました。
「私なんか必要とされていないんだ」
「私はここにいない方がいいんだ」

そのことに気づいたとき、U子は愕然としました。
なぜなら、前回の失敗した結婚生活と同じ場所にたどり着いていたからです。
今度こそ、優しくて私を大事にしてくれる相手と結婚したはずだったのに、同じ状況になっているなんて。
相手が変わっても同じ状況になるということは、自分に原因がある?
そう思わざるを得ませんでした。


さて、U子さんは、どうしてこのような状況になってしまったのでしょうか。
U子さんはぐっどうぃる博士の理論を知っていました。
ですから、「もう私のことが好きじゃないの?」といった質問はしない方が良いことはわかっていました。
わかっていながら聞くことを我慢できませんでした。
つまり状況が悪化することを分かっていながらそれをやったということです。
T平さんが外出を取りやめると言ったときも、
「あなたがそう言うなら」と従うこともできたはずですが、従いませんでした。
また、T平さんが引っ越ししないと言っているのにもかかわらず、何度も「引っ越しをしたい」と訴えています。
わざわざT平さんが困るような、U子さんがT平さんを責めて険悪になるような話題を選んでふっていますね。
U子さんもうすうす感じているように、
どうもU子さんがこの状況になるように仕向けているようです。

では、U子さんとお話してみましょう。

うみこ(以下う):「U子さんは、いまどんなことに困っているんですか?」
U子(以下U子):「T平くんが私を大事にしてくれていると頭では分かっているのに、ささいなことで被害妄想して、いつも険悪になってしまうんです。たとえば、返事がそっけないとか。T平くんはただ疲れているだけかもしれないのに。言ってはいけないと思っているのに、私のことが嫌いになったのとか、余計なことを言ってしまうんです」

う:「そうですか。それに対してT平さんはどう答えますか?」
U:「いつも穏やかで優しいT平くんもさすがに付き合いきれないといった感じで、だんだん取り合ってくれなくなってきました。態度も冷たくなってきたように感じます。それで余計に私が不安になるという悪循環です」

う:「それで、最終的にはどうなりますか?どんな状況に陥りますか?」
U:「自分は必要とされていない、ここにいない方がいいんだという気持ちで一杯になります。どうしようもなくなって、部屋にこもって泣いています。最後にはT平くんが部屋に迎えにきて慰めてくれるのですが、こんなことを繰り返していたらいつか必ず愛想を尽かされると思います。T平くんに迷惑をかけ続けているので、自分は迷惑な存在なんだという思いも強くなっています。T平くんは何も悪くないのに、どうして自分から関係を壊すようなことばかりしてしまうのか、さっぱり分からないんです」

う:「そうですか。じゃあ、まずお母さんのことについて聞かせてください」
U:「はい」

(いろいろな質問をしましたが、長くなるので一部省略します)

う:「では、お父さんのことを聞かせてください。お父さんはどんな人でしたか?
U:「父は、無口で・・・あまり家庭内で存在感がなかったというか・・・」

う:「というと?」
U:「私が生まれたばかりのころは子煩悩だったと聞いているのですが、記憶にある父はいつも家族の蚊帳の外にいました。平日は仕事で朝早く夜も遅かったし、皆で食事をしていても父以外の4人で会話していたと思います」

う:「お父さんとU子さんの関係はどうでしたか?
U:「自分で言うのもなんですが、父は兄妹の中で私を一番可愛がってくれていました。家族みんなでいるときは無口でしたが、私と父の2人になるとよくしゃべりましたし、母や他の兄姉は知らないことも私には話してくれました」

う:「お父さんとU子さんは仲良しだったんだね」
U:「そうですね、家の中では一番私が父と仲が良かったと思います」

う:「じゃあ、お父さんとお母さんの関係はどうでしたか?
U:「うーん、あまり良かったとは言えないです」

う:「どんな感じに?」
U:「まず、父と母が会話していることが少なかったです。母は家のこと、子供のことにかかりきりでした。母は仕事もしていましたし。家計もすべて母が支えていたと聞いています。母はいつもあくせく働いて家のことを切り盛りして、父はただいるだけ、そんな感じでしたね。直接的には何も言わないのですが、なんとなく母が父を責めている雰囲気は感じていました」

う:「お母さんは何も言わなかったの?お父さんに対して」
U:「そうなんですよ。今考えると、父にも頼ればよかったのに、と思うんですけど、母は一人で抱え込む質だったんです。それに、『お父さんに言ってもムダ』、と言っていたのを聞いた記憶があるようなないような・・・。父も古い時代の日本男児なので、女性の察してほしい気持ちなんて察せるわけもなく・・・」

う:「それでお父さんは・・・」
U:「はい、毎日ただ仕事に行って、帰ってきて、無言でごはんを食べて寝て、また仕事に行っていました。母の雰囲気を感じとっていたせいかどうか分かりませんが、子どもたちも父に話しかけようとしませんでした」

う:「そっかぁ・・・。悲しいね・・・。ようやく分かってきたよ」
U:「何か分かりましたか?」

う:「うん。あのね、U子さんがいつも感じていた『自分は必要とされてない』『ここに自分はいない方がいいんじゃないか』っていうあの気持ち。もし家族の誰かが感じていたとしたら、誰だと思う?」
U:「それは・・・・・・・・・、父しかいませんね」

う:「あのね、親と子のつながりはとても強くってね、親の感情を子供が代わりに感じることがあるんだよ。ましてや、U子さんはお父さんと一番つながりが強かった。そしてお父さんは自分の感情を外に出すような人ではなかった。だから、U子さんはお父さんの気持ちを分かってあげたい!って強く感じていたんだと思うよ」
U:「父の感情を私が代わりに感じていた?」

う:「そう。お父さんを理解してあげたかったんだよ。どんなに辛いだろうって」
U:「そんなこと、今まで考えたことありませんでした」

う:「ぜんぶ無意識の世界のことだからね」
U:「でも、たしかに、今改めて考えると、父は毎日早朝から夜遅くまで働いていたのに、家族の誰からも期待されず感謝もされず、そんな生活をずーっと続けて、いったいどんな気持ちだったんだろう、どれだけ辛かったんだろうって、すごく胸が痛みます・・・」

う:「お父さん本人も、その感情に蓋をしていたと思うよ。だからこそ余計に、U子さんが代わりに分かってあげたいと思った。お父さんを理解したいと思って、自分も同じ状況になるように仕向けていたんだね」
U:「自分が必要とされていないと思える状況になるように、自分で仕向けていたということ?」

う:「そう」
U:「まさか、自分がそんなつもりで動いていたなんて、びっくりです」

う:「人の心って不思議だよね」
U:「とても不思議ですね」

う:「U子さんはお父さんのことが大好きなんだと思うよ」
U:「それもあまり考えたことがなかったけど、そうかもしれないです」

う:「お父さんと仲良くね。お父さんからの愛情、ちゃんと受け取ってあげてね」
U:「はい、今まで照れくさかったけど、もう少し父と仲良くしてみます」


人が行動をするとき(またはしないとき)、そこには必ず目的(理由)があります。
U子さんの場合、
その目的を自覚していなかったために、
夫との関係を悪化させようとする自分の行動が理解できず、
自分をコントロールすることができないと悩んでいたのです。
本当は、自分の目的に沿った行動をちゃんとしていたのです。

さて、今回は後日談をお話しすることができます。
この対話のあと、U子さんはもう一度じっくりとお父さんのことを考えました。
家族のために役に立ちたいと思いながら父は自分が役に立っていないと感じていたにちがいない、
役に立っていないと思うから、家族のなかに居場所がないと感じていたんじゃないか、
そういう思いを抱えながら何十年も家族のために黙って働き続けた父のことを思って
U子さんはたくさん涙を流しました。

そして、この対話以降、
「自分は必要とされていない」という思いにU子さんが取り憑かれることはなくなりました。
父親の気持ちを理解したいという目的が果たされたためと考えられます。
T平さんの態度がたまにそっけなくても、
以前のU子さんなら「T平くんは私のことが嫌になったのかも」なんて思っていたかもしれませんが
「今日は仕事で疲れているんだな」と思えるようになりました。
2人の間に再び柔らかく温かい空気が流れはじめました。

実は、このU子さんの話は私(うみこ)本人の経験談です。
1回目の結婚生活、2回目の結婚生活において、
きっかけはなんであれ結局は「自分は必要とされてないんだ!」という思いに苛まれるパターンに
長い間苦しんでいたのですが、
この経験以降、なにかを変えたというわけでもないのに、同じように苦しむことがなくなったのです。
とても不思議な経験でした。

いつもやってしまう破壊行動の結果、どのような状況になるのか?
その状況を自分が求めているとすれば、何のためにそうしているのか?
たとえば、誰かを責めたいから不幸でいたい人もいます。(幸せになってしまえばもう文句を言えなくなります)
自分で理不尽だと思いながらいつも同じ行動をしてしまうとき、
その隠れた目的を見つけることができれば、
悩みを解消すること、またはその糸口を見つけることができるかもしれません。


4回にわたって、セルフケアと過去の傷について、具体的な事例をあげてレポートしてきました。
悩みの内容や状況は人によって千差万別ですので、直接当てはまることはないと思います。
ですが、現在のトラブルの原因が、思わぬところ、つまり過去に存在する場合があるということを知っていただければと思います。
セルフケアもしている、恋愛テクニックや駆け引きもたくさん知っている、なのにうまくいかない、幸せな恋愛ができないという人は、過去から影響を受けているかもしれません。

過去の傷は、現在のパートナーには癒やすことはできません。
ましてや、過去の傷の痛みを今のパートナーにぶつけていては、
せっかく心を開くことができたパートナーとの関係を壊してしまうことになります。
現在のトラブルと過去の傷を混同して大切なパートナーとの関係を壊してしまわないように、どうか気をつけてください。
過去の傷に上手に対処することができれば、より深く愛情に満ちたパートナーとの関係が待っているのですから。



愛にも春夏秋冬がある




「ベスト・パートナーになるために」を書いた心理学博士ジョン・グレイはこのように言っています。

私たちの異性関係は庭園のようなものである。
美しい緑に覆われ、草花が咲き誇る見事な庭園をつくりあげようと思えば、
絶えず豊富な水を与えなければならない。
ただ漠然と水を与えるだけでも不十分である。
四季の移り変わりや予期せぬ天候変化に備え、
あるいは臨機応変に特別の細やかな心づかいをしていかなければならない。
同じように、理想的な異性関係を築くためには、
その四季を理解し、必要な滋養を与え、心細(こま)やかな世話をやかなければならない。

春―理想とする異性と出会い、恋心が芽ばえ、その相手と恋に陥ったとき、それが愛の季節のはじまり、つまり春である。この時期は、何の努力をしなくてもすべてがうまくいくのが当然だと確信できる、まさに魔法の時間である。二人はなんの屈託もなく気持ちを合わせて、至上の幸福を心の底から喜ぶことができる。

夏―この頃になると、彼(彼女)が自分が思っていたほど理想的な相手ではなかったと認識するようになる。当然、お互いの間にフラストレーションや失望感が芽ばえてくる。そういった”雑草”は取り除かねばならず、ギラギラと照りつける太陽の下では特に念入りに”水や滋養分”を与えていかなければならない
この夏の季節では、私たちはパートナーが必要としていることを認識・理解し、その線にそって自分のほうから何らかの形で働きかけなければならない。と同時に、自分のほうからも相手に望みたいことは忌憚なく彼(彼女)に伝えるようにする。それはけっして自動的には起こりはしない。

秋―夏の間に念入りな手入れを加えた結果、私たちはその成果を収穫することができる。この時期はまさにゴールデンタイムである。すべてが充実し、私たちはより成熟した愛情を交換できるようになる。お互いの欠点や失敗を認め、理解し合うことができる。お互いに感情を素直にさらけ出し、感謝をし合える時間である。

冬―季節は確実に巡り、寒い冬が当然のようにやってくる。冬がくると、私たちは自分のなかに閉じこもるようになる。この時期、私たちは十分に休息し、充電し、新しく自分を生まれ変わらせる必要がある。冬の季節には、自分自身の潜在的な否定感情にとらわれ、それがパートナーとの愛情関係にも大いにマイナス効果を与えてしまう。心の奥深くに押し込まれていた苦痛に満ちた感情が、それを押さえ込んでいた蓋がはずれてしまった結果、一気に顔を出してくるのである。したがって、この季節は相手のことよりむしろ自分自身のことに関してあれこれじっくりと見つめ直し、考えていく必要がある。

暗く、寒さの厳しい冬の間に、自らを愛し、気づかい、精神的な傷の治療に専念することができれば、自動的に再び春の季節がめぐってくる。そうなれば、私たちはもう一度、いまの相手に「二度目の恋」をすることができるだろう。

春から夏へと季節が移り変わり、自分の思いどおりにことが運ばなくなり、厳しい仕事が待ち受けていたとき、冬の空虚さに襲われたとき、パートナーとの関係を投げ出したくなったり、絶望感に苛まれたりするだろう。だが、愛情というものは四季のように移り変わっていくものであり、厳しい夏のあとには豊穣の秋が、空虚な冬のあとには愛情と希望に満ちた春がやってくるということを覚えておいてほしい。


ジョン・グレイ博士の素晴らしいアドバイスを紹介して、このレポートを終わります。
レポートを読んでいただいた皆さま、このような機会を与えてくださったぐっどうぃる博士、推薦してくださった方、メッセージやコメントをくださった方に心より感謝申し上げます。


うみこ


参考書籍
1.「結婚の謎」(ウィリアム・グラッサー、カーリーン・グラッサー)
2.「アドラー心理学入門」(岸見一朗)
3.「ベスト・パートナーになるために」(ジョン・グレイ)

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