恋愛における認知バイアスの罠 その三  男は浮気する生き物だから 後半




前回の「恋愛における認知バイアスの罠 その三  男は浮気する生き物だから 前半」では確証バイアスとは何か、そしてそれが初期のバイアスエラーをいかに強化していくかのメカニズムを説明した。
今回の後半ではこの確証バイアスの弊害とその対策について書いてみよう。

恋愛における確証バイアスの弊害


確証バイアスとは、人は一度何かを信じると、それを確証する情報ばかりに目がいき、その反対の証明に関しては軽視する傾向になることである。例えば恋をすると必要以上に相手の良い所にばかり目がいき、悪いところはあまり目を向けなくなるわけである。まさに恋は盲目である。
逆に相手との付き合いの時間が長くなればなるほど悪い点も冷静に情報として入ってくるようになり、嫌いになる際には逆に嫌いという確証バイアスが働き、人の悪い点だけが目に入るようになる。こうして「別れ」という最悪の事態に進んでいく。

よく恋愛がうまくいかなくなったときに聞かれる「出会ったときはあんなに優しくで好きでいてくれた彼が今は冷たく連絡もなくて・・・」には確証バイアスも一役買っている。もちろん恋愛初期における恋人(特に男性)のテンションの高さや相手(女性)を手に入れたいがためのマメな行動もあるには違いない。しかしながら確証バイアスにより情報そのものが取捨選択され、あるいは増幅されていることによる影響も無視できないものである。

恋愛においてはつねに不安や悩みがつきまとう。このため不安な状況を脱するため、たとえマイナスの結果になろうとも白黒つけたがる。他のバイアスによる小さなエラーを増幅し、やがてそれは根拠のない多くは間違った確信に変わり、挙句の果て妄想に発展する。恋愛の悲劇のひとつは何も問題が無いところに誤解が生じ、相互不信感に囚われ、やがては別れにつながることにある。個人的な意見になるが、実際別れの原因の半分以上は見逃せばどうってことの無い小さいな問題が妄想によって肥大化してしまうことによるのであろう。

さて確証バイアスのさらにやっかいな問題は「自己認識」を歪めてしまうことにもある。人はいったん「自分はこういう人間なんだ」と思いこむと、それに合致した情報や経験を重く見て、ますます自己認識を強めてしまう。良い自己認識ならばまだしも、自分に否定的な感情を持つ人間にとって、これは望ましいことでは無い。恋愛においては特に自己否定につながる確証バイアスが働きやすい。自分を愛せない人間は誰も愛せないし愛されることもない。そしてますます自己否定するという負のスパイラルに陥ってしまう。

確証バイアスからみた恋愛における男女の違い


確証バイアスの原因「悩み・不安」

何度も言及しているが恋愛における確証バイアスの原因の多くは「悩み・不安」である。人間は悩みを解決しようとするとき、同時に不安も抱き、その不安を1分でも1秒でも早く解消したい、その衝動に駆られてしまうと確証バイアスが働いてしまう。人間が迷い悩む存在である以上、確証バイアスと上手く付き合っていかなければならないのである。
ところが恋愛において男性はほとんどこの確証バイアスに囚われることが無い。なぜならば基本的に男性は恋愛で悩んだり、不安を感じたりすることが少ないからである。さらに男性の場合、ビジネスや趣味といった恋愛とは別な世界に入った途端、恋愛のことなど忘れてしまう。起きている間ほとんどの事柄が恋愛と結びついてしまう女性とは異なるのだ。

騙されたくない心理
前回でも話したが確証バイアスの中の思い込みによって作られた固定観念のひとつに「男は浮気する生き物である」というものがある。これ自体の正否についてはいろいろ意見があるだろうが、これが実際とはかなり誇張された形で女性の恋愛観に根付いているのは確かであろう。恋愛に限らずこの「騙されたくない心理」は確証バイアスの格好の餌食になる。確証バイアスに囚われる人は過度に相手を信じるか、疑い深く妄想に走るか両極端になることが多い。
これに対し男性は恋愛において端から自分が騙されるとは微塵も思っていない。実におめでたい生き物なのである。

自分は大丈夫
一般的に確証バイアスを避ける際、重要な事は「自分は他人よりもバイアスの影響が少ない」と誤認識していないかという点である。人間は自分を特別と感じてしまう傾向にあるが、特に恋愛における女性にはこの傾向が強いと思われる。「私の彼は特別である」というのもこの傾向を表している。
自分も他人と同様、確証バイアスに囚われやすく過度に相手を信じたり、逆に疑い深くになる傾向にあることをしっかり認識することである。
自分は他人よりもバイアスの影響が少ない」と誤認識して点では男性も女性と大差はないようである。ただし、「俺の彼女は特別である」と思う傾向は少ない。むしろ逆に「どっかにもっといい女がいるかもしれない」と考える傾向にある。その点ではやはり男性は確証バイアスの影響は少ないと思われる。

確証バイアスから抜け出るために

まずは他のバイアスも含め確証バイアスの存在を知ること、そして「自分は大丈夫」と過信せず、「人間は確証バイアスに陥りやすい」と認識しておくことが必要である。

以下に確証バイアスに陥らないための方法について示す。

一度批判的に考えてみる
定期的に「本当にそうかな?」という問いかけを自分にかけることが必要となる。先入観や固定観念等に捕らわれずに自分の考えを少し引いて考えてみる。いつもいつも全てを疑うことは逆効果であるが、自分にとって印象深い経験やアクセスしやすい情報のみを参考にして判断してしまわないようにすることは確証バイアスに対抗するには重要である。
彼が浮気をしていると確信しても一度立ち止まって、浮気をしていない前提ですべての言動を解釈してみる。意外と自分の解釈が事実無根な想像に基づいていたりするものである。

客観的な意見を求める
「他人はどう考えるのだろうか?」これも自分の視野を広げ、無用な確証バイアスから開放してくれる重要な手段となる。なるべく客観的な意見を聞ける環境を作っておくことが重要となる。また本やサイトで論理的な思考に基づいた知識を身につけるの良いだろう。論理的な思考をたどることで自分が疑いもしなかった結論になんら根拠が無いことが明らかになるケースは少なくない。
そういう意味ではこのサイトの恋愛相談は非常に有効なツールだと思う。行動を起こす前に一度客観的な意見を求めるためにも、このサイトで相談する習慣をつけるのもいいかもしれない。

自分の意見に固執しない
確証バイアスの存在を知り批判的な反証事例を集めたとしても、自分の意見に固執しては意味が無い。人間は容易に間違いを起こし、勘違いをし、それに固執する生き物であることを十分に認識し、柔軟に対応できる姿勢を持つことが重要になる。


頭の良い方はこういう疑問を持つことだろう。じゃあ浮気の疑いのある彼をどう見ればいいのか。確証バイアスにより無節操に彼を信じるケース、浮気を妄想するケース、どちらもいけない。
最初から浮気をしない男性や浮気をしょっちゅうする男性は例外であり、ほとんどは浮気に興味がありながらも実際はできない、あるいはそのような場面に遭遇しても行動できないものである。さらっと一度だけ文句を言う程度にし、あとはあなたとの時間を価値あるものにする努力をした方がよっぽど浮気対策には有効である。


次回は認知バイアスの中でも最も早くから知れらているバイアスについて説明する。「根本的な帰属の誤り」といういかめしい名前がついているこのバイアスは非常に分かりやすいバイアスである。しかしこのバイアスの恐ろしいところは、バイアスがかかっていることに気づかないどころか「私はそれほどバカでは無い」とバイアスにかかっている本人がそれを真っ向から否定するところにある。この半年間でlineの友達登録に関してこのバイアスにかかっている事例に5件遭遇した。その例をもとにご紹介しようと思う。

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