愛野カタルの恋愛指南書のススメ 第2回「愛を伝える5つの方法」
愛野カタルの恋愛指南書のススメ:第2回「愛を伝える5つの方法」
こんにちは、愛野カタルです。
いよいよ秋も深まってまいりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
“読書の秋”ということで、恋愛指南書のススメ第2回は結婚生活を上手くいかせるのに役立つ、ゲーリー・チャップマン博士著「愛を伝える5つの方法」をご紹介したいと思います(第1回はこちら→https://u-rennai.jp/contents/report/461)。
1.本のタイトル:「愛を伝える5つの方法(原題:The Five Love Languages 副題:How to Express Heartfelt Commitment to Your Mate)」
ゲーリー・チャップマン 著、ディフォーレスト千恵 訳 いのちのことば社、2007年発行、1600円+税
☆ひとことで言うと「相手のして欲しいことをすれば結婚生活は上手くいく!」
評価:(5つ星が最高)
【読みやすさ】★★★:文章はできるだけシンプルに書かれており読みやすいが、キリスト教色が強く感じられるため、苦手な人は苦手かも
【勉強になる度】★★★★★:愛情表現の方法を言語にたとえるアイデアは斬新で興味深い
【実践しやすさ】★★★★★:実践方法が具体的にたくさんの例を挙げて書かれているのでトライしやすい
【納得度】★★★★: 30年以上の結婚カウンセリング経験を持つ著者の主張は説得力あり
【恋愛における必要度】★★★★:結婚生活を上手くいかせたいなら読んでおきたい一冊
☆こんな女性におすすめ
・夫から愛情を感じられないことや冷めた夫婦生活に悩んでいる女性
・結婚生活を上手くいかせたい女性
・夫婦関係を改善したい女性(妻や彼女との関係を改善したい男性にもおすすめ)
・自分が相手のためを思ってやっていることが空回りしていると感じたことのある女性
・自分や恋人、夫が何に一番愛情を感じるタイプなのか知りたい女性
2.著者の人物像
ゲーリー・チャップマン:1938年生まれ。アメリカ全土で有名な結婚相談カウンセラーであり30年以上にわたる結婚カウンセリングの経験を持つ。全米で高い人気を誇る結婚生活向上セミナーのスピーカーでもある。ムーディー・バイブル・インスティテュートを卒業し、フィートン大学で人類学を専攻後、ウェイク・フォレスト大学にて人類学の修士号を取得。その後サウスウェスタン・パプテスト神学校で修士号と博士号を取得している。チャップマン博士は1971年からノースカロライナ州にあるカルバリー・バプテスト教会で副牧師も務めている。
3.「愛を伝える5つの方法」ってどんな本?
本書は、The Five Love Languages (Gary Chapman, Northfield Publishing, 1992, 1993)の翻訳です。長年米ニューヨークタイムズのベストセラーリストに名を連ね、49以上の言語に翻訳され、世界470万部以上のセールスを記録しています。著者は本書の中で、人によって異なる愛情表現の方法を5つの言語にたとえて分かりやすく説明しています。本書を読めば“相手が何に愛情を感じるのか”を知ることができ、相手の望む方法で愛を伝えられるようになります。
4.本書の内容
30年以上におよぶ結婚カウンセリングの経験を持つ著者のチャップマン博士によれば、人にはそれぞれ一次言語(母語)が存在するように、愛情表現の方法も人によって異なります。そのため、配偶者に自分の愛情を理解してもらいたいなら、相手の愛の一次言語を学んでそれを語ることが結婚生活を上手くいかせるためのカギだということです。チャップマン博士の言う「相手の愛の一次言語で愛を語る」とは、言い換えれば、相手にとって一番重要な愛情表現が何かを知り、その方法で愛を示そうとすることです。
人は誰しも「愛されていると感じたい」という基本的な欲求を持っていて、夫婦がお互いにその欲求を満たすことができれば結婚生活は上手くいくと博士は考えています。結婚してしばらくすると、愛が消えてしまったと感じる人がいますが、これはお互いの愛情表現を相手に理解してもらえないせいで起こる現象です。夫婦がお互いの一番重要だと感じる愛情表現方法を学び、その方法で相手の愛情の欲求を満たすことができれば、結婚生活を上手くいかせることができます。
著者によれば、基本的な愛の言語は大きく分けて次の5つです。
・第一の愛の言語「肯定的な言葉」
・第二の愛の言語「クオリティ・タイム」
・第三の愛の言語「贈り物」
・第四の愛の言語「サービス行為」
・第五の愛の言語「身体的なタッチ」
さらに、一般的な言語と同じように、一つの愛の言語の中にも様々な方言つまりパターンが存在します。例えば最初に紹介する第一の愛の言語「肯定的な言葉」の中には、励ましの言葉や優しい言葉といった方言が含まれます。
「肯定的な言葉」を愛の一次言語に持つ人は、配偶者から褒められたり、励まされたり、感謝されたりする等の好意的な言葉をかけられることによって最も愛を感じます。なかでも「スーツ姿きまってるね」と褒められたり、「美味しい料理を作ってくれてありがとう」と感謝されたり、「今夜はお茶碗を洗ってくれてありがとう。とっても嬉しかったわ」といった、気持ちを素直にシンプルに表現する言葉が一番効果的だと書かれています。この愛の言語を使う際は、思いやりのある優しい話し方を心がけることと、決して「要求」にならないように注意しましょう。言葉での表現が苦手な人には、肯定的な言葉をリストアップした手帳を作りボキャブラリーを増やしていくことがおすすめです。
第二の愛の言語である「クオリティ・タイム」が相手の愛の第一言語であれば、配偶者と充実した時間を過ごすことが愛を感じるポイントでしょう。クオリティ・タイムで一番大切なことは、「相手に最大限の関心を寄せる」ことです。スマホを見ながら会話したり、一緒にテレビを見るなどは、一緒の時間を過ごしていてもクオリティ・タイムとは言えません。相手の話に集中して耳を傾け、充実した会話によって相手を理解しようとすること、一緒に共通の趣味を楽しむこと、旅行に行くことなどがクオリティ・タイムの実現方法です。
「贈り物」は5つの言語の中で最も分かりやすい愛の言語かもしれません。贈り物を愛の第一言語とする人は、金額の大小や有形無形にかかわらず、夫や妻からのプレゼントによって愛を実感します。この言語を話す人にとって、贈り物はパートナーの思いを象徴するシンボルです。場合によっては、配偶者の存在自体が贈り物になることもあります。
「サービス行為」とは、配偶者があなたにやってほしいと願うことを実際にしてあげることです。部屋の片づけ、料理を作ってあげる、掃除機をかける、ベッドのシーツを整える、洗車等、相手のために何かをしてあげることが愛を表現することになります。相手が何をして欲しいのか知りたければ、リクエストを聞いてみると同時に日々の小言を思い出してみましょう。相手の批判の中に要望が隠れていることがあります。
5つ目の「身体的なタッチ」を愛の一次言語に持つ人は、配偶者とのスキンシップや身体的な触れ合いによって「愛されている」、「大切に思われている」と感じます。これはセックスだけを指すわけではありません。体の関係はこの愛の言語の方言の一つでしかないのです。大切なのは相手にとって心地いい方法で触れ合うことです。例えば、手をつなぐ、ソファに座ってくっつく、肩をマッサージする、外出時や帰宅時にハグするなどたくさんの方法があります。相手にとって何が良いタッチなのか、相手の意見を聞いてみましょう。最終的に決めるのはあなたのパートナーです。
さて、ここまで5つの愛の言語について説明しましたが、読んでいる人のなかには「じゃあどうやったら相手や自分の一次言語が分かるの?」と思った方もいるでしょう。そんなあなたは鋭いです。もちろん博士は愛の一次言語の見分け方についても教えてくれます。まずは自分自身の愛の言語を知るために次の3つのことを考えてみてください。
「1.配偶者がすること、またはしないことで、あなたが最も深く傷つくことは何ですか。その正反対があなたの愛の言語でしょう。
2.配偶者に最も願ってきたことは何ですか。あなたが相手に一番頻繁に懇願してきたことがおそらくあなたの愛の一次言語でしょう。
3.いつもどのような形で配偶者への愛を表現していますか。あなたは、自分自身が「こうしてもらうと愛されていると感じる」ことと同じことをして、相手に愛を表現している可能性があります。」(p.177より引用)
自分の愛の言語が分かったら、配偶者の愛の言語も同じように予想してみましょう。そしてパートナーと一緒に答え合わせをしましょう。また、巻末には夫・妻それぞれに向けた愛の一次言語の「確認テスト」が掲載されています。これを使って自分と配偶者の愛の第一言語とその他の言語の優先順位を確かめることもできます。ちなみに、二つの愛の言語が同じくらい大切と考えるバイリンガルの人もいます。
本書の後半第10章 ラブ・イズ・ア・チョイス(愛は選択)で著者は「愛は選択です。夫・妻のどちらからでも、愛することを選択して、夫婦関係の回復・改善に取りかかることができるのです。」と書いています。
配偶者のために愛情を伝えることを選び、行動するなら、それこそが本物の長続きする愛であり、その選択はあなたの結婚生活に良い変化をもたらすでしょう。
5.愛野の視点
私がこの本をおススメする理由は次の3つです。①愛情表現の方法を5つの言語に例えたアイデアが斬新で面白くわかりやすいこと、②実際にどう行動すればいいか具体的な実践例がたくさん挙げられていること、③著者がカウンセリングした夫婦の事例がテーマ別に会話形式で書かれているので、読者がそれを追体験できることです。
①についてはこの本を読んだ多くの人が同じ感想を抱くのではないでしょうか。愛情表現という形のない曖昧なものを、“言語”に例えるコンセプトは新鮮で、方言まで存在し、それが同じ愛の言語を持つもの同士であっても時に伝わりにくさを生む、という著者の説明には思わず、「なるほど~」と言いたくなってしまいます。
さらに②について、考え方の説明がわかりやすいだけでなく「言ってることはわかったけど、じゃあどう実践したらいいの?」という、読者が抱きがちな疑問にも、それぞれの愛の言語ごとに10通りずつ、計50通りもの例を挙げて具体的に教えてくれます。これによって私たちは、学んだことを実践する最初の一歩を踏み出しやすくなります。
そして③、本書に登場する夫婦のエピソードは地名と名前以外実話に基づいて書かれています。愛情の問題を抱えたいくつかの夫婦がチャップマン博士のカウンセリングを通じてお互いの愛の言語を学び、相手の求める方法で愛を表現した結果、結婚生活が改善されていく様子がチャップマン博士と夫婦の会話を通して紹介されます。そのため読者はまるでそこにいるかのように博士の言葉を受け取り、夫婦の気持ちに共感し、一緒にカウンセリングに参加しているような気分になれるのです。
正直に言うと、この本を読み進めている途中で「夫か妻どちらか一方だけが夫婦関係を改善したいと思っている場合でも、愛の言語を学んで実践することに効果はあるのだろうか?」という疑問が私の頭の中に浮かんできました。なぜなら、成功例として紹介されている夫婦のほとんどが夫と妻の両方で著者のカウンセリングと提案に取り組んでいたからです。日本において夫婦カウンセリングは一般的ではないし、夫婦関係を改善したいと思っているのはどちらか一方だけ、というパターンも珍しくはないと思ったからです。
しかし、その疑問にも答えはちゃんと用意されていました。もちろん夫婦一緒に取り組むよりもその道のりは困難ですし、結果の保証はありませんが、夫婦のどちらか一方でも相手の望む方法で愛情表現する努力を続ければ、やがて相手の愛されていると感じたいという欲求を満たすことができ、夫婦関係にプラスの変化が訪れる可能性は高いというのがチャップマン博士の見解です。
・本書の注意点とデメリット
この本を読む際、心理的に抵抗を感じる人が多いかもしれない最大の要素は「キリスト教的価値観」です。著者は教会の副牧師をしている人物であり、30年以上前に自分の教会で結婚生活についてのセミナーを行ったところから、結婚カウンセリングのキャリアをスタートさせています。そのため本書は全体を通してキリスト教の考え方や世界観に基づいており、ときには聖書を引用して筆者の主張が展開されます。誤解しないでほしいのは、キリスト教の影響が強く感じられるからといって、この本は宗教的価値観を押し付けるものではありません。著者は科学的に考える訓練を受けており、調査や研究に基づいて書かれている部分も多くあります。
ですから、キリスト教的な話の部分は「ふーん」とあまり深く考えずにスルーしつつ読むか、教養として知識の一部に留めておくか、あるいはキリスト教についてもっと深く知りたくなったら自分で勉強してみる等、この要素をどのように捉えるかは全て読む人の自由です。キリスト教色が感じられるからといって、反射的にアレルギーを起こさず、まずは全体を読み進めてみてください。筆者が伝えたいのはあくまでも、相手の求める方法で愛を示すことの大切さについてなのですから。
7.私と「愛を伝える5つの方法」
私は現在結婚2年目ですが、結婚して夫と一緒に暮らしてみて、お互いの生活習慣や家事のこだわり等、大小さまざまな違いに驚かされることが沢山ありました。この本を読みながらそのことを思い返し、毎日の生活でも夫と妻でいろいろな違いがあるんだから、愛情表現の方法がお互いに違うことはむしろ当然のことだろうと、著者の言うことをすんなり受け入れられました。しかし巻末の確認テストを使って夫と私の愛の第一言語を確認したところ、意外なことに二人とも同じ「肯定的な言葉」が第一言語でした。今のところ私たちの夫婦生活に感情面での大きな問題が起こっていないのは、この愛の一次言語の偶然の一致のおかげかもしれません。ただし、他の愛の言語の優先順位にはやはり違いがありました。これを知ったことで、私は今までより夫に肯定的な言葉を積極的にかけるようになり、他の愛の言語についても見直すきっかけになりました。その意識を持てたことが今後の結婚生活にプラスになると感じています。
この本のさらなるメリットは、この先長い結婚生活に訪れるかもしれない気持ちの変化に対し、心構えができることです。チャップマン博士はこの本の冒頭で、恋愛感情が落ち着き、結婚という現実の生活に移った後の感情的な変化についても言及しています。結婚という現実の生活の中で気持ちが変化していくのは当たり前であり、それでもなお相手を愛するという選択と行動をすることが本物の愛だと博士は教えてくれます。この教えは現在婚約中のカップルや新婚さんにも役立つはずです。まさに「備えあれば憂いなし」の一冊。読んで損はありません。
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▼ コメント(1) - 新しい順
- わかりやすくまとまっていて、一気に読んでしまいました!
恋愛や結婚にとても役立ちそうで、お互いの言語を意識して少しづつでも実践していこうと思います。ぽてお&ひつじ更新:2018-11-19 02:57