【モテの定理 第12回】パターンとギャップで、相手を惹き付ける駆け引きを使いこなせ!
●渕上賢太郎(ふちがみ・けんたろう)博士
モテモテ・アカデミー主宰。数学、生命科学、行動経済学の博士号を持つ。どんな人、モノでも「モテ」てしまう定理をついに発見した。恋愛初心者・山田君が、浮かれて下手なことをしないか心配している。
●山田君
彼女いない歴=年齢のモテない32歳。何とかモテたい、彼女を作りたいと博士に泣きつき、ついに宮崎あおいちゃん似の可愛い同僚と急接近中。しかし、初めてのことに若干テンパリ気味?
※この記事は、2011〜2013年までの間に、MSNのニュースサイト・ドニッチにアップされたぐっどうぃる博士の記事の復刻版です。また、男性向けに書かれた記事ですが、女性にも役立つ内容だと考え、このたび恋愛ユニバーシティにも載せる事にしました。
神奈川県某所にある謎に包まれた研究所の一室、モテモテ・ラボラトリー。ここでは「モテ」に関するあらゆる研究が行われており、ブレイクしたいタレントや、新商品をヒットさせたい企業、果ては支持率の回復を狙う政治家までが、助言を求めて日夜訪れる。
山田君 は、博士ぇ~大変です!事件です!
博士 おお、山田君。高嶋政伸の離婚報道で、「姉さん、事件です!」と言っちゃった人は日本にどれくらいいるんだろうなあ(※この記事は2011年に書かれたものです)。
山田君 ?僕は思っちゃいましたよ。でももう若い子は知らないでしょうねえ……。
って、そんなことじゃないんですよ、博士!彼女から連絡が来なくなっちゃったんです!何度メールをしても返事がこないし、電話しても出ないし。僕、何かしちゃったんでしょうか。あっ、もしかして事故にあったとか!まずい!彼女の実家に電話してみます!!
博士 待て待て待て~~ぃ。とりあえず深呼吸だ。山田君。
山田君 すーはー、すーはー、すーーーはーーー。すーーーはーーー。
博士 まずは何が起こったか説明したまえ。君は彼女に何をして、どれくらい連絡がないんだ?
山田君 えっと、彼女とは最近、毎日メールしてるんです。で、今朝「おはよう!寝すぎちゃったよ(爆)」ってメールを送ったんです。でも返事がなくて。昼にまた「お昼何食べた?」って送ったんですけど、また返事がなくて。で、焦っちゃって「メールないけど、何かあった?」って送っても返事がない。だから電話もして……でも、出てくれないし、折り返しもないんです!朝メールしてから、もう6時間ですよ!!
博士 ばかやろう!
たった6時間連絡が取れないだけで実家に電話していたら、君はもう危険人物だぞ。
山田君 で、でも、彼女、メールの返信はいつも早いんです。5分とか10分とか、何かの用事で携帯が触(さわ)れなくても、遅くとも1、2時間以内には返ってくるんですよ。こんなに連絡がないなんて、何かあったとしか考えられません!
博士 そんなことはない。何かの都合で長時間携帯を触れないのかもしれないし、何もなくても、今、メールをしたくない気分なのかもしれない。こんなことは恋愛ではよくあることだ。
山田君 えっ、そんなものなんですか。安心しました。
博士 いい機会だから、ここで脳の性質のひとつを教えよう。
脳には次の性質がある。
1)物事からパターンを抽出しようとする。
2)一旦パターンを抽出すると、そのパターン内にある限り、どんどんその対象を意識しなくなっていく。
3)意識しなくなっているパターンから外れた、いわば「例外事項」があると、その対象が再び意識されるようになる。
山田君 ちょっと、何言っているか分からないです(サンドウィッチマン富澤たけし口調)
博士 うむ。まず人は、何に対しても無意識にパターンを抽出しようとする。
メールを送ってから返ってくるまでの時間が、いつも5分から10分だとすると、それをパターンとして抽出する。遅くとも1時間で連絡があるというのもパターンだな。
君は無意識にそのパターンを抽出し、事象がそのパターン内にあるかぎり、そのパターンが頭の中で強化され、同時に、彼女からのメールの返信のタイミングに関して意識すらしなくなる。
ところが今回のように1時間以上メールが来ないと自分の考えているパターンの外にでる。例外事項だ。そうすると、再び意識にのぼってくる。それが3時間、4時間となれば強い不安に包まれることになる。
これが先ほど言った脳の性質だ。
山田君 その通りですよ、博士~~。ほんとに色々考えちゃいました。(爆)って使ったのがいけなかったのかな、とか。
博士 パターン外のことが起こると、人は何故それが起こったのかを考え始め、答えが見つからないと不安になるんだ。
これは色々なところで、我々が無意識にしていることだ。
では、ちょっと目をつぶって想像してみてくれ。朝通勤で、会社の建物に着いたとき、まず君は何をする?
山田君 そうですね。エレベーターの前で上に行くスイッチを押します。
博士 そして?
山田君 エレベーターに入って6階を押し、6階についたら降りますね。まっすぐ歩いてドアをあけ、自分の席に座ります。
博士 それを無意識にしているだろう。
山田君 まあ、そうですね。毎日、特に意識せずにやってます。
博士 じゃあ、そのドアが開かなかったらどうだ?
山田君 うーん、想像してみます。あ、確かにに「アレ?」って思います。そして理由を考えます。今日、日曜日だったっけ?みたいに。
博士 では、ドアが開かないのが平日で、しかもドアが空かない理由が見つけられないときは?
山田君 えっと、こ、怖いです。携帯を開けて、会社から何かメールが来ていないか探ったり、同僚とか、色んなところに電話をするかもしれません。
博士 そうだ。パターンを抽出して、抽出できればその対象を忘れる。抽出したパターンの外にでると人は再びそれを意識する。そして何故そうなのかを考えるようになる。理由が見つからない時は、混乱する。理由付けを何とかしようとする。対象によっては、「正しい理由」にたどり着くまで不安に突き動かされて行動しづけるんだ。
山田君 恋愛でも同じことが起きるんですね?
博士 そうだ。しかも君の場合、ちゃんとおつき合いするのは彼女が初めてだから、知っている恋愛パターンがめちゃ少ない!したがって、パターン外の事態がしょっちゅう起こるんだな。
恋愛慣れした人は知っているパターンが多いから、「あ、メールがしばらく来ないパターンね」と、焦らず余裕をもって対応できる。
山田君 なるほど~。ということは、僕はこれから地道に恋愛経験を重ねていくしかないってことですか?もう32歳なんですが……。
博士 そこを越えて行けるのが人間の良いところだよ。山田君。
ここで、もう一つ脳の性質を話そう。
人間に限っては、「もっともらしい理由」があれば、パターンを抽出していなくてもそれをパターンとして信じることができるんだ。
君は僕に「6時間くらい連絡が来ないことなんて恋愛では普通だ」と言われて、安心しただろう。君は、僕が恋愛に関して人より多い知識を持っていることを知っているから、僕の言葉を「もっとらしい理由」として信用し、経験してないパターンを自分のものにすることができたんだ。
ちなみにこの「パターン」というものは、モテに使うこともできる。
人はパターンから外れることが起こると、それまでそのことを忘れていても、急に意識にのぼる。つまり君の彼女に、同じことをすれば、彼女を不安にさせることも可能ということだ。
例えば、君が毎日彼女に送っているメールを突然やめる。そうすると、もしそれまで彼女が君のことを大して意識していなくても、メールが来なくなったことで君の存在が気になりだすんだ。
他にも、いつもため口で送っていたメールを、とつぜん丁寧口調にしたり、いつも彼女最優先だった山田君が他のことを優先しはじめたり、あるいは急に髪型を変えたりすることで、彼女は忘れていた山田君を意識する。
僕はこれを、「ギャップを作る」と表現している。
世に言うギャップと同じだ。「ギャップ」というのは、誰かが信じているパターンから大きく外れることなんだ。
山田君 じゃあ、ギャップをやってみようかな。
博士 関係がうまくいっているときはする必要がない。うまくいっているときは、一貫した行動をとるんだ。メールの頻度も、返す時間も一定に保ち、彼女に山田君のパターンを抽出させておくんだ。
ただし「(爆)」は止めるべきだがな。
今日は時間がなくて全てを話せないが、「パターン抽出」と「もっともらしい理由」と「ギャップ」、この3つを使いこなせれば、駆け引きではかなり優位に立てる。これは、ポーカーゲームにも営業にも、まあ、ありとあらゆる駆け引きに使える。
山田君 なるほど~。あっ、博士!今、彼女からメールが来ました!親戚の子供と山に遊びに行ってたって。「圏外だったの、ごめん(>_<)」ってメールきました!怒ってもいないみたいです~。よかった~。
博士 よかったなあ。ストーカーにならずにすんで。
今回の定理
パターンと、もっともらしい理由とギャップを使いこなせば、モテの達人になれる
ぐっどうぃる博士の解説
ジェフ・ホーキンス著『考える脳 考えるコンピューター』を何年も前に読んだのですが、衝撃でした。脳が予想する仕組みが分かりやすく解説されていたからです。これ以降とこれ以前で僕の生き方や、生きる戦略の立て方がまるで変わってしまいました。今回のコラムのパターン抽出に関してはこの本が元になっています。
駆け引きにおいて、相手にパターンを抽出させるのは、以前紹介したブランディングと少し似ています。人は一貫したメッセージを受け取り続けるとそれパターンとして抽出し、信じ、それを当たり前と認識した上で忘れるのです。それはメールの頻度でも、服装でも、話し方でも何でもかまいません。
一方、「もっともらしい理由」というのは、一瞬で相手を信じ込ませる強力な力があります。たとえば、「これは、今シリコンバレーでもっとも注目されているマーケティング手法なんです」と権威付けをしたり、「どこのスーパーでも、客が左回りに店内をぐるっと廻るよう設計されているでしょ?それと同じで、世に出回っているサービスには決まったフォーマットやルールがあるんです」と相手の体験しているところから例え話をしたり、あるいはロジカルに「今お客様は、期限内に納品することを重視するとおっしゃいましたよね?であるなら、ここで新たなサービスを追加すること は、マイナスになります」と言ったりするなど色々あります。
ちなみに、この「もっともらしい理由」と「パターン」は異なる性質を持っています。「もっともらしい理由」には効果に即効性があります。が、もし、「もっともらしい理由」と「パターン」が矛盾している場合、長期的には抽出したパターンが勝ちます。「パターン」は長期的に相手に効くのです。たとえば、いくら「お客さま無しではサービスは成り立ちませんから、お客さまを大切するのは当たり前でしょう」と言いながら、一貫して客をないがしろにしていれば、「もっともらしい理由」は数ヶ月の間には効力を失うでしょう。もっともらしい理由を話す人間の言葉が効力を失ってしまいます。
パターンを外す戦略は、ギャップ以外にもあります。三国志に出てくる有名な「空城の計」(実際にそれが行われたかどうかを別にして)がうまくいったのは、普段から諸葛亮孔明が、勝つ見込みのない策を取ることがなかったことと、何度も相手を欺(あざむ)き、敵軍を大敗させて来たことが、「まさか本当に城にほとんど兵が残っていない」ことを信じさせなくさせていたからでしょう。駆け引きではよく使う方法ですが、パターンを相手に抽出させることで、パターン外を想定できなくさせていたということです。
(次回予告)
モテの定理もついに最終回!モテる男であり続けるために、心の持ちようを山田君にアドバイスします。
ぐっどうぃる博士 (恋愛カウンセラー)
理学博士(生命科学専攻)。現在は主に恋愛カウンセラーとして活躍。自身の体験と生命科学的視点を合わせた独自の恋愛メソッドを展開し人気を集めている。悩める女性の恋の問題が解決するサイト『恋愛ユニバーシティ』主宰。
現在、WEB、書籍、雑誌等など多方面で活躍中。また大手企業のマーケティングリサーチや企業のブランディング戦略にも参画。
近著に『振り向いてくれない彼に1ミリも迫らないで恋に落とす本』がある。
他にも『モテの定理』『恋愛マトリックス』(ソフトバンククリエイティブ)、『恋で泣かない女になる61のルール』(講談社)などがある。
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片思いの悩みを解決する方法のまとめ
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