それはいきなり出張の案件で、泊りで某東北地方の県に行ってほしいというものだった。
工作の内容は簡単に言うと現在男性のターゲットにすでに女性の工作員が接触しているので、次回で連絡先を交換したい。その際に現在の女性工作員の友人役としてその場で連絡先交換をバックアップしてほしいというものだった。
初回の仕事だから、先輩工作員と一緒の案件に入って工作を実際に見て学んでほしいという意図があったようだ。
翌週のスケジュールだったため、すぐにできますと返信すると、詳細はまた別途送るとの返事が来たため待つことにした。
同じタイミングで別の男性の担当者の方からもメールが来ていた。
その方は役員ポジションの男性で、面接のときに最後だけあいさつに来た人だった。
私が工作員として新しく入ったことへの歓迎と激励、期待していますという内容と共に、「突然だけど明日って昼間空いていないかな?1時間くらい。15時~から可能だと嬉しいです。」という一文が書いてあった。
「こちらこそどうぞよろしくお願いします。明日空いています。15時~可能です。」と返事をした。
すると「明日、代官山のネイルサロンに行ってほしいのです。ネイルはなんのメニューでもOKです。自分の好きなようにやってもらって。予約はこっちでとるから行くだけでOK。この下の住所の場所に15時に行ってね。終わったら連絡して。俺が近所の喫茶店にいるつもりだから合流しよう。」という返事が来た。
ネイルサロンに行くだけでいいのか…楽だなと思い、翌日指定された住所のサロンに行った。
そこはネイルサロンというよりは小綺麗なマンションの一室で、インターフォンを押して予約してある旨を伝える。
女性の明るい声と共にオートロックの解除がされる。
エレベーターで該当階に行き、更に部屋の前のチャイムを鳴らすと女性が出てきた。
「お待ちしておりました!今日はよろしくお願いいたします。」という満面の笑みで出てきたのは40半ばくらいの細身の女性だった。
やはりここはマンションの一室で、中にはその女性しかいない。
ただ、人が住んでいるような状態ではなく内装はサロン仕様になっていた。
私はあまり派手はネイルをしたくなかったので、無難にオフィスにもしていけるようなデザインのジェルネイルをしてほしいとオーダーした。
女性はおそらく自身の今までの作品のポートレートを見せながら「こんな感じでいかがでしょうか?」と勧めてくれた。私はそれと同じでいいと言って施術に入った。
相手の女性と何を話してよくて、何を話してはいけないかなど全くわからないまま、女性と雑談をした。
女性は今まで趣味でネイルアートをやっていたのだが、念願かなってサロンを開くことができたと嬉しそうに語ってくれた。
私はこの人が一体何の案件のどのような立場の人なのか見当もつかないまま、雑談を続けた。
施術が終わり、ネイルの仕上がりはとても綺麗だった。料金を支払うとその女性は笑顔で「またお待ちしてます」と見送ってくれた。
そのマンションから少し離れたところで担当者の男性に電話すると、駅前の喫茶店にいるからそこに来てと言われた。
喫茶店に着くと奥に男性が一人座っていた。目が合うと手を振るアクションをされたので、会釈をして席まで向かった。
「お疲れさまね。なんか飲む?どうだった?爪綺麗にしてもらえた?」と言いながら男性は私に封筒を渡してきた。
「あとこれ、今日のバイト代と交通費1000円、あとあのサロンの料金払ってもらった分が入ってるから中身確認して」
中には合計で1万が入っていた。
「確認しました。ありがとうございます。あと、カフェラテお願いします。あの、今日のあれって何だったんですか?」と聞いた。
「あー今日のあれはね、あのさっきネイルしてくれた人の旦那が依頼者なの。不倫相手と再婚したいから別れたいって。で、もういろいろ済んだ後なんだけど、離婚して一人でやっていくために念願のサロンのオープンしたから、人気があるって思わせてあげて自立できるように今サクラを行かせてるの。ありがとうね」
さっきの人、別れさせ屋工作に巻き込まれてるなんて、傍目から見たら全くわからない上に、あの人自身も全く思わないだろうなと思った。
あんな善人ぽい普通の人が巻き込まれるなんて、何の因果なんだろうと怖くなった。
ただ同時に私は直接ではないにしてもさっきの人を攻撃する側の勢力に加担しているということも頭をよぎったが、その時の私はもう次の仕事が入ってきていたので流れが止まることはなかった。
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