恋に効く映画Vol.4『ラビング〜愛という名前のふたり』〜アメリカの結婚史を変えた実在の夫婦の愛と戦いの物語
愛を貫く強さが欲しいとき
たとえ周囲に反対されても、彼との結婚を貫きたい!
そう思っているなら、ぜひ見たい映画がもうすぐ公開されます。
今回映画ライター・山縣みどりさんにおすすめいただくのは『ラビング〜愛という名前のふたり』。
先日2月26日に行われた第89回アカデミー賞では、主演女優賞を惜しくも逃した主演女優ルース・ネッガの熱演も話題ですが、異人種間の結婚が州によっては違法とされていた1950年代のアメリカが舞台の映画です。
どんな困難があろうとも彼との愛を貫き通す勇気がほしいとき、必見の映画です!
(恋愛ユニバーシティ編集部)
恋に効く映画Vol.4『ラビング〜愛という名前のふたり』
『ラビング〜愛という名前のふたり』
3月3日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
ⓒ2016 Big Beach, LLC. All Rights Reserved.
配給:ギャガ
<映画あらすじ>
1958年のバージニア州、ミルドレッド(ルース・ネッガ)は恋人リチャード(ジョエル・エドガートン)に妊娠を告げる。黒人の彼女は白人である恋人の反応が心配だったが、リチャードが喜ぶのを見てホットする。数日後、リチャードはミルドレッドを草原に連れ出し、「この土地を買った。結婚してくれ」とプロポーズする。異人種間の婚姻が認められているワシントンDCまで赴いて結婚式を挙げて晴れてラビング夫妻となった二人だったが、ある夜、保安官が寝室に乱入。バージニア州では異人種の男女が同衾するのも違法だったのだ。逮捕された二人は弁護士の尽力で服役を免れるが、「今後25年間は州内に戻ってはならない」との条件付きだった。夫妻はワシントンDCに住む親戚宅に身を寄せるが、知人もいない土地での生活はミルドレッドには辛いだけ。やがて彼女は臨月を迎える。助産婦として働くリチャードの母親に赤ん坊を取り上げてもらいたいと願うミルドレッドのため、リチャードは危険を冒して愛妻を故郷に連れ戻すが……。
ⓒ2016 Big Beach, LLC. All Rights Reserved.
困難に遭遇した時にわかるパートナーの愛の深さ
2017年に生きる私たちにとって、異人種間の婚姻が違法という事情があまりピンとこないかもしれません。でも当時、州によっては違法でした。リチャードはミルドレットとの結婚が違法と知りつつ、彼女にきちんとプロポーズをして、彼女の父親を立会人にして結婚します。幼馴染の黒人青年でさえ「黒人と結婚するなんてバカだ」と言い放ちますが、リチャードの愛には肌の色なんて関係ないのです。もちろん二人の結婚は、保安官の知るところとなり逮捕されます。こういう状況なのでリチャードが一方的に離婚を宣告しても誰にも咎められませんが、彼はミルドレットのためなら故郷を捨てても構わないという気概を見せます。障害はないに越したことはありませんが、困難に遭遇した時こそパートナーの肝っ玉の大きさや愛情の深さがわかります。
ⓒ2016 Big Beach, LLC. All Rights Reserved.
愛を貫くために戦わなくてはならない時は覚悟を決めて!
長男出産後に再び逮捕された夫妻は弁護士の「里帰り出産ができると言った私のミス」という言葉に救われますが、二度と故郷の土は踏めないと覚悟します。それから5年、ワシントンDCで生活するミルドレッドは叔母からケネディ司法長官に手紙を書くことを勧められます。世の中では自由と平等を求める黒人たちが公民権運動を起こしていて、長官はこれを支持していたのです。手紙を読んだアメリカ自由人権協会が手配した弁護士が夫妻を訪れ、婚姻を違法とした判決を撤回する裁判を起こそうと持ちかけます。提案を受け入れたミルドレッドは、「LIFE」」誌などの取材を受けることで全米からの支援を集めようと積極的に活動します。控え目な専業主婦だったミルドレッドが戦う女性に変身したきっかけの一つは、息子が遭遇した交通事故。「子供たちが安全に遊び回れる故郷に戻りたい」という思いが起爆剤となって、「リチャードとの愛を世間に認めさせたい」という彼女の闘争本能に火がつきます。愛を貫くために戦うミルドレッドの姿勢は、いつの時代の女性にとっても素敵なお手本となるはずです。
ⓒ2016 Big Beach, LLC. All Rights Reserved.
妻を不安がらせたくない夫の不器用な愛情表現に涙
愛妻ミルドレッドや4人の子供達と一緒に「LIFE」」誌のグラビアに登場したリチャードは、職場で嫌がらせを受けます。また脅迫めいたメッセージが車に残っていたことも!? 公民権運動の波はバージニア州の片田舎までは届いておらず、黒人女性と結婚した白人男性は嘲笑の的だったのです。権利を勝ち取りたいミルドレッドを不安がらせたくないと自分に向けられる誹謗中傷を胸にそっとしまっておくリチャードの男気に胸を打たれること必至! 何があっても妻子を愛し、守り抜くリチャードの覚悟こそ愛の証なのです。
(山縣みどり/映画ライター)
山縣 みどり (映画ライター)
出版社で雑誌編集者として勤務したのち、フリーの編集者兼ライターに転身。「Brutus」や「ELLE」「GQ」「25ans」「anan」、映画サイト「シネマトゥディ」などで映画レビューをはじめ、役者や監督のインタビュー、セレブ・ゴシップの総括、翻訳など多岐に渡って執筆中。スター本のゴーストライターなど「好き」を仕事にしています。
恋人に関する悩みを解決する方法のまとめ
関連記事
関連する相談